今回は【子どもと受験 中学受験の過酷さを子どもに伝えるメリット】と題し、お話していきます。
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ありがとうございます。
子どもと受験というと、頭に浮かぶのは中学受験もしくは高校受験になると思います。
大都市圏を中心に中学受験熱が高くなっていますが、中学受験を経て中学に進む子は全国的には少数派で、高校受験が人生初の受験という子が多いです。
しかし、都市部だけでなく21世紀に入って地方の2番手や3番手の公立高校が中高一貫校として新しい歴史をスタートしたのを皮切りに、それまで中学受験する子は超激レアだった地方都市でも、【中学受験を検討する】という親子が増えてきました。
公立中高一貫校の誕生とゆとり教育がちょうど重なったというタイミングもあり、私も塾で仕事をしている時に【公立中高一貫校を受ける】という小学生を担当した経験があります。
牧歌的な日々を送っていた子ども達が、中学受験をすると決めた途端に合格という限られた枠を奪い合うような世界に身を置くことになるので、【こんなに辛いなんて】と思う子も少なからずいます。
地方でも、【受かればラッキー】という考えの家庭もある一方で、【何が何でも合格する】と気合を入れる家庭もあったりと中学受験に対する温度差というのは受験する側でも多少なりともあります。
とはいえ、中学受験は他の受験と同じように合否がハッキリ出てしまいます。
まだ色々と成長過程で挫折経験が少ない小学生が受験をして、現実を受け止めないといけないという、冷静になって考えるとかなりハードな受験です。
中学受験する子が少ない地域ですと、中学受験の大変さを理解していない子も多いので不合格となったときには同級生から何を言われるか分かりません。
そして、子ども以上に親の方がストレスを感じて精神的に参ってしまうこともあります。
義務教育期間ということもあり、受験をして入るような中学校そのものは少ないです。
【受験をして私立中、国立中、公立中高一貫校に入りたい】と思っていても、全員を受け入れるだけの枠はありません。
そのため、高校受験や大学受験よりも厳しい受験の世界が待ち受けています。
中学受験は参入してみて【こんなに過酷なのか】と感じる子が多いので、精神的なダメージを受ける子もいます。
スタート時点でそういう過酷さをよく分かっていないまま走り出し、キツイ勉強に疲弊してしまうというのは、避けたいところです。
ですから、本当に突き進めるのか吟味する必要があります。
中学受験を考えている時は、『中学受験の過酷さ』を伝えて子どもの意思や覚悟を確認することも大切です。
どのような現実が待ち受けているのか伝えるべきなのか考えていきます。
1.優秀な子がさらに勉強している特殊な世界と理解する
中学受験は私立であれば基本的に筆記試験で決まります。
国公立は筆記試験の他に面接の実施、学校の内申書にあたる調査の提出もありますが、合格を勝ち取るには私立中と同じように当日のテストでどのくらい点数を取れるかということにかかってきます。
どの受験でも言えることですが、様々な模試でこの位の点数が取れたら志望校に合格する可能性が50%、70%ですとハッキリと数値化されています。
模試の結果がよくても、本番も同じ通りとはいかないことも多々ありますが、各学校の合格できそうかどうかはテストの偏差値で手に取るようにわかります。
全てが数値化されており、その数値をクリアできるよう、中学受験をする子達が必死に勉強している世界です。
そもそも、中学受験をする子は親が教育に関心があるので、塾通いをするまでに高い学力を仕上げるという意識を持って家庭学習を進めていきます。
『塾に入ってから勉強して学力を鍛えてもらおう』ではなく、塾に入る前にそれなりに仕上がっている子ばかりが塾にやってきます。
ですから、優秀な子同士が塾のクラス分けテストでバトルをし、序列が決まります。
たとえ学校のテストで高得点を連発している子でも、最上位クラスや2番手のクラスに滑り込めないという特殊な世界です。
我が子はこうした中で小学6年生の冬まで走っていけるかどうか、と親の方も自問自答を繰り返すことも大切ですし、子ども本人にも必ず確認してください。
我が家では大都市圏の中学受験をする子や、地方の公立中高一貫校を受ける子に比べるとかなり緩い雰囲気で勉強をしていましたが、それでも『本当にする気はあるのか』『途中で投げ出すかもしれないなら辞めた方がいい』と何度も話をしました。
何度も『音を上げるだろうから』的な話をしていたら、最終的に子ども①②に『しつこい』と言い返された経験があります。
ただ、塾で仕事をしていたこともあり『本当に中学受験の世界に身を置いても大丈夫か』というのを心配しました。
事前に厳しいという現実を伝えておくと、子どもの覚悟や決意がどの程度か見分けることができますし、場合によってはお金をつぎ込んでしまう前に撤退を決断することもできます。
2.偏差値のプレッシャーに耐えられるかどうか
塾で仕事をしていると、保護者から『次のテストまでに偏差値を5以上あげたい』という偏差値を上げる指導をお願いされる、要望をされることがあると思います。
希望する偏差値の数値は2〜3くらい上げれば志望校に合格できそうだとか、なかには偏差値を50から60にしたいということもあります。
口では簡単に言えます。
例えば、小学校のテストや中学校の定期テストで『あと10点あげたい』というのはしっかり勉強して、ケアレスミスを無くしていけば実現可能ですが、さすがにそれと同じ感覚で『偏差値を10上げたい』を実現するのは無謀です。
親も何かしらの受験をして、偏差値を気にするということを経験しているはずですが、自分の過去と今向き合っている子どもの学力の問題は別物と捉えて、『こうなって欲しい』『短期間でもガッツリ努力すれば上がる』と考えている方が少なからずいます。
まず、受験の世界では勉強しているのが当たり前という前提でテストを受けているので、偏差値を1から2上げるのも楽なものではありません。
とくに上位校になればなるほど、偏差値が高い学校ほど学力の高い子がひしめき合うのでその中で成績を上げていくというのは親が思う以上に、そして子どもが想像するよりも大変です。
真面目にコツコツ勉強していても、結果が出ない子は山のようにいます。
ですから、気軽に『偏差値を5くらい上げたい』とは口にできません。
よほど勉強にセンスがある神童タイプの子なら、短期間で偏差値をトントンと上げられますが、その他大勢の子は『偏差値を下げないよう勉強をしつつ、どうにか上げていくためにもさらに勉強している』という状況の中で、本番直前までそういう心境を持って生活していきます。
偏差値というのは子どもの学力を査定する数値であり、その数値を子どもが真正面から受け止められるだけの心の強さがあるかどうかも中学受験を乗り切るためのカギとなります。
もちろん、模試ではずっと悪い結果だったけれど本番で結果を残すという子もいます。
ただ、それまでに至る長い間、偏差値を意識しながら勉強するのでプレッシャーに耐えうる、または気にせずにいられるかということも親としては心配です。
中学受験をしなくても、いずれ高校受験をする際は同じように偏差値を気にすることになりますが、心の成長を考えると10歳から12歳、そして部活動なども経験している中学生とは受け止め方というのは多少なりとも違います。
3.周囲の雰囲気に流されて受けようとしている子は高校受験に乗り換える
地方では中学受験する子はレアな存在ですが、大都市圏で中学受験率が高いエリアですと『受験するのが当たり前』という中で子育てをすることになります。
仲の良い子が中学受験をすると聞くと『それなら私もしようか』と考える子もいれば、知り合いのママ、パパの家庭の多くが受験をすると耳にすると『うちの子もした方がいいか』と思い悩む親もいるでしょう。
受験しないことを選択したこの方が目立つ、レアな存在になるような地域もあります。
ただ、そういう中でも中学受験をしないで高校受験をするという子は確かに存在しています。
そもそも、中学受験は必須の受験ではありません。
とくに激アツの大都市圏での受験は相当ハードであり、親の経済的な負担、そして心身ともに子どもに大きな負担を背負わせます。
子ども自身がどうしても進学したいという中学がある、学区が荒れているなどの理由がないと、なかなか乗り越えるのが難しいです。
『皆がやるなら自分も』と周りに流されて参入してどうにかなるものでもないので、本当に受けたいのかどうか確認してください。
そして小学6年の冬までにハイレベルな学力に仕上げられるかどうかという親の冷静な判断も必要です。
もし、後伸びタイプやまだ精神面で幼さを感じたり、勉強の管理が出来そうにない時は中学受験ではなく高校受験に絞り、切り替えるのが子どものためにもなります。
たしかに周りで受験する子が多く、知り合いの親が中学受験の話で盛り上がっていると疎外感を感じたり焦りを感じると思います。
しかし、受験をするのは子どもであり『中学受験をすることがプラスかどうか』『高校受験をした方がよいか』と意見交換をしましょう。
子どもの進学のゴールは大学受験なので、中学受験も高校受験もその途上の受験です。
どちらを経由した方が子どもに良いのかを考えましょう。
まとめ
子どもと受験は家庭にとって大きなイベントで、親も気もそぞろで落ち着かない日々を送ることになります。
全国的には子どもにとって人生初の受験は高校受験というのが圧倒的に多いですが、大都市圏を中心に中学受験をする子も増えています。
中学受験をする子はほぼ例外なく教育熱の高い家庭の子が挑むので、その世界は学力高い子同士の勝負と勉強しなければいけません。
その分、過酷な道のりになるため、参入する前に中学受験のリアルな世界を子どもに伝えて『乗り越えられるか』を考えてください。