今回は【医学部受験が過酷なワケ】と題し、教育産業に携わった者なら誰もが経験する医学部医学科を目指すことの大変さを取り上げていきます。
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国公立大学の医学部医学科に合格する。
ましてや現役で合格する子はほぼ間違いなく、地方であればその地域のトップ高校のトップ層に君臨し、大都市圏では難関校の上位層にいると、高い学力が求められます。
小さい頃に【お医者さんになりたい!】と子どもが口にしていても、成長するにつれてその難しさに気がつき進路を変更する子が増えていきます。
とはいえ、どうしても医者になりたいと頑張っている子ども達がいることも事実です。
不況になると理系、とくに医学部が人気を集めるという話を耳にした方はかなりいると思います。
医師国家試験をパスしたら日本ではおそらく最強の国家資格、国家免許をゲットできます。
また、雑誌などでも受験シーズンが終わるとこぞって高校別の東大や京都大などの最難関大学の合格者数だけでなく、医学部医学科の合格者数も大々的に取り上げるなど、特別な存在です。
これだけ特別なので、受験も非常に過酷です。
過酷な理由をサクッと3つ紹介していきます。
1.医者を目指すなら医学部医学科しか道はないから
まず、お医者さんになるには100%医学部医学科に入らなければなりません。
そして大学で6年間学び、国家試験をパスしなければ免許取得はできません。
一般的に難関資格、合格率が低い司法書士、中小企業診断士、弁理士、いわゆる宅建、宅地建物取引士や司法試験も、制度上、厳密に言えば学歴のバックボーンは問われません。
もちろん、その資格に関わる学部学科に進学する方が有利なのは確かです。
例えば、司法試験であれば法学部というのはお約束みたいなものですから。
けれど、直接人の命に関わる医師や看護師に関しては必ず医学部医学科、看護学科や看護学校に入り既定のことを学んだうえで試験を受けるという決まりになっています。
ですから【医者になる!】と心に決めたら確実に医学部医学科に入らないといけないのです。
しかし、ご存知の通り合格するのは至難の業。
高齢化社会になり、医師不足が指摘されているので国公立大学全ての医学部医学科の定員は少しずつ微増しています。
とはいえ、そうなっても簡単に入れる訳ではありません。
とくに学費が抑えられる国公立大学はどの大学も偏差値が高く【それなりに勉強を頑張っている】では合格できません。
全国各地の優秀な受験生による壮絶な枠の奪い合いが行われます。
浪人する場合でも、毎年学力高い現役生が加わるのでそういう受験生と戦い、合格を勝ち取らないといけません。
子ども自身が神童レベルならまだしも、合格水準になかなか到達できない場合は浪人覚悟で受験することになります。
しかし毎年一定数いる神童レベルの志願者と戦い、神童さんたちに勝てる学力を上乗せできないと【諦める】というのも現実的な選択になります。
そして、医学部医学科に特化した塾や予備校は授業料も高いです。家計への負担もバカになりません。
色々な事情から医学部医学科の受験を辞める、ということは医者になる夢を諦めるということを意味しています。
これまで医者になるために頑張ってきた努力を別の夢、進学に向かわせないといけません。
【すっぱり諦めた】【どうしてもやりたいことが見つかった】という気持ちで再出発できるならいいのですが、これまで医者になるとばく進してきた子どもが【学力的に無理】となった場合、どう折り合いをつけるのか、というのが非常に難しいです。
2.少子化でも志願者数が減りにくい
少子化の中でも大学進学者数が増えています。
ちなみに、毎年高校卒業学年、つまりは高校3年生に該当する子どもの数は約2万人単位で減っています。
こんなに子どもの数が減っているのと、2000年代に私立大学が全国各地で増えたこともあって全入時代と言われています。
ですが、大学や学部学科によっては相変わらず狭き門です。
その代表格の一つが医学部医学科です。
不況に強いと言われる医学部医学科の受験者数は既卒生も含めると、令和元年度の入学者選抜試験では11万9,358人、令和3年度入学者選抜試験では10万5,568人でした。
現役志向が強まっていることや毎年2万人くらいずつ高校3年生が減ってきている中でも、3年間で医学部医学科の受験生の数が1万4千人しか減っていないのは驚異的なこと、驚くべきことです。
医学部医学科は【医者になる】という全国の受験生がしのぎを削ります。
また、進路変更もしにくいので志願者数が激減することは期待できないです。
例えば、不況になれば文系より理系人気が高まるというのはお決まりのパターンでした。
けれど、医学部医学科に関しては不況になれば志願者が増えるのが基本傾向。
不況でなくても【最強の資格を得られるチャンスがある】【先行き不透明の時代に確実に有利になる学部】と別格なので志願者数が大きく変動することはあまり期待できません。
特殊な学部学科なので、パスできるだけの高い学力がないと少子化の時代でも突破するのが非常に難しいです。
【参照】
令和元年度 医学部医学科入学状況https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/05/1325992_002.pdf
令和3年度医学部(医学科)の入学者選抜における男女別合格率について
https://www.mext.go.jp/content/2021930-mxt_daigakuc02-100001375_1_2.pdf
3.私立大学も難化している
医学部医学科の中でも、私立大学は言葉は悪いですが【お金次第】とか【国公立とか一部の伝統ある私立大とは違い楽に合格できる】と揶揄されることや、都市伝説的な扱いもされてきました。
しかし、医学部に関しては少子化に関わらず志願者数が大きく減少しているわけではないことも影響して、私立大学は昔のように【楽に入れる】ではなくなっています。
また、私立大学では慶応義塾大学を頂点として偏差値の序列がハッキリしています。
そして、6年間でかかる学費もその偏差値と大きく関係しているとされています。
私立大学では安いところと高いところがハッキリ分かれていて、一番安いのが国際医療福祉大学で6年間にかかる学費は2000万円を切ります。
国際医療福祉大学の医学部は2017年度に設置されて歴史はまだまだ浅いですが、河合塾のボーダー偏差値はすでに65です。
一番お金がかかるのが岡山の川崎医科大学で、私立大学の医学部医学科の中でも偏差値は低めと言われています。
6年間で4千550万円で、1年次は全員寮に入るので別に寮費や食事費など約110万円以上かかります。
河合塾のデータですと、ボーダー偏差値は60。
東大の理Ⅲと私立最難関の慶応の医学部のボーダー偏差値の72.5に比べれば、入りやすいのかなと思ってしまいますが、そもそも合格できる最低ラインの偏差値が60です。
筆記だけでなく医学科なので面接もあります。
学費を支払えるだけの財力はもちろんのこと筆記試験をパスできる学力、医師として問題のない人物かどうか見極められるので、楽勝とは到底いえないです。
まとめ
お医者さんになるには、絶対に医学部医学科に入らないとなれないという大前提があります。
湯水のごとく教育費を費やしても、学力が到達していなければ大学に入れませんし、入れたとしても遊んでいては医師国家試験をパスするのは難しく、常に勉強できる姿勢が求められます。
命を預かる仕事なので、面接で【この受験生はちょっと】【医者の適性がない】と感じられたらどんなに筆記試験が良くても合格する可能性がグンと低くなります。
色々とハードルが高く、強靭な精神力がないと乗り越えられないのが医学部受験です。
子どもを医者にさせたがる親も少なからずいますが、数々の困難、過酷さを乗り越えられるほど【医者になるぞ!】と子どもが固い意志を持っているかどうか考えてみてください。
【参照】
令和3年度医学部(医学科)の入学者選抜における男女別合格率についてhttps://www.mext.go.jp/content/2021930-mxt_daigakuc02-100001375_1_2.pdf
令和元年度 医学部医学科入学状況https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/05/1325992_002.pdf