世間的に言われるゆとり教育は2002年度から2010年度までの学習指導要領での公教育を意味しています。
ただし、PISAショックもあり2007年度から中学3年生と小学6年生を対象とした全国学力・学習調査がスタート。
2008年度からは新学習指導要領(2011年度から2013年度までに小中高で順次スタート)に向け、小学校や中学校では移行措置期間となりました。
そのため、超厳密に【ゆとり教育】を意味するのは2002年度から2007年度になります。
ちなみに新学習指導要領は、実施される3,4年前に内容が公表されます。
そのため、2020年度から小学校でスタートした学習指導要領は2017年3月に公示されました。
ゆとり世代が子育て世代に
ちょうど、私もゆとり教育がスタートした時に塾で仕事をしていました。
中学英語の英単語数がガッツリ減ったことに驚いたのを昨日のように覚えています。
さて、ゆとり世代と言っても当時の小学生と中学生、はたまた中学1年生と中学3年生とでは影響力が異なります。
中学1年生は13歳ですから、2022年度には33歳になります。
当時の小学5年生が30歳。
ということは、子どもが就学する年齢になっていることも珍しくないわけです。
教育に関して親子の世代間ギャップが大きい
ゆとり世代は完全週休二日制ですし、そういった点では今の子ども達と条件は同じ。
ただ、公教育はガラリと変わっています。
もちろん、小学校1年の最初はひらがな習って算数では【おはじき】を使って数を数えたりと基本は変わりません。
しかし、
・アクティブラーニング的な要素が強まっている
・論理的な作文の書き方を小学1年生から学ぶ
・学習量が増加
・英語を学び小学5年生からは教科化
こんな感じで変化しています。
自分の小学生や中学生時代と同じだと捉えてるのはNGです。
中学受験経験のゆとり世代もいる
ゆとり教育スタートが2002年(公示は1998年)。
授業時間数は前後する指導要領の中で最も少なくなりました。
こういってはなんですが、塾業界にとっては渡りに船。
公教育への不安を感じる家庭で私立中学への受験をする、という流れが確立する大きなきっかけにもなりました。
ゆとり教育時代には、地方でも公立中高一貫校が誕生。
そのため、「地方出身だけれど中学受験経験者」「地方だけれど中学受験して学区外の学校に進学した」がいるのもゆとり世代の特徴といえるでしょう。
つまり、徐々にゆとり世代の親が増えていきますが全員が「ゆとり教育を受けていました」ではありません。
ゆとり教育とは別次元と理解する
ゆとり教育により皮肉なことに学力差が拡大していった、と個人的に感じています。
週休二日により、塾に長時間いて勉強することも可能になりました。
学力のボトムアップを図り、新学習指導要領がスタートしたわけですが、けっこうハードです。
完全なる新学習指導要領っ子である子ども③は、小学1年生の夏休み前から読解問題とかテストで出ていました。
算数の宿題でもガッツリ文章問題が出ました。
同じ公立小学校でも、子ども①②の頃と劇的に変わりました。
中学校もしかり。
英語教育の違いは無視できない
とくに英語は小学校から勉強し、学ぶ英単語数は600語から700語。
中学では1600語〜1800語を学び、内容も難しくなっています。
ゆとり世代が中学3年間で学ぶ英単語数は900語だったことを考えると、とんでもないことになっています。
そして英語教育のスタートラインは学研や公文の幼児コースの存在も大きく、個人差があります。
かつてのように【全員中学1年生から】ではありません。
「英語やっているね」ではなく、小学校から以前の中1内容やって中学入学後は英単語も増加して文法もガッツリやる、に変化しています。
思考力と読解力というパワーワード
現行の学習指導要領では、思考力や読解力を鍛える教育になっています。
調べ学習や発表が増え、語彙力の有無もクラスメイトにすぐに分かってしまうことに。
大学受験でも、2022年1月の数学ⅠAでは国語的な問題が出題されて大騒ぎとなりました。
入試でも思考力や読解力を問う問題が増加していくとみられ、変化の少なさそうな教育でも変化している時代です。
とはいえ、あまり思考力や読解力という言葉に踊らされるのは如何なものかとは思います。
昔ながらの読み書きそろばんを軽視せず、自分の考えを言える子に育てる。
これを気にかけていれば思考力や読解力の素地は作られていきます。
ただし、学校教育がゆとり教育とは異なる(授業数の増加や教科書がボリューミーなど)ので気をつけて下さい。
親の情報アップデートはより重要に
ゆとり世代だから~、と世代をひとくくりにす表現は好みません。
しかし、この世代での公教育は他の世代とは多少なりとも異なります。
子育てでも、白湯やベビーパウダーが常識ではなくなっています。
それと同じで教育も時代の流れで変化しています。
2020年度から順次スタートしている学習指導要領と自分の受けてきた公教育でズレが生じていると受け止めた方が無難です。
ですから、ゆとり世代のなかでも小学校と中学校は学区の学校に進学した方は、
・現行の公教育がどういったものなのか
・英語教育は実際何をしているの?
と子どもが就学する前から情報収集することをオススメします。