今回は【子どもの学力差を大きく分ける決定打となりやすい学年と教科】と題し、お話をしていきます。
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子どもの学力差を大きく分ける【決定打】となりやすい学年は確かにあります。
もちろん、個人差はありますが【概ねこの学年が近づいてきたら気をつけよう】と心がけて欲しい時期というものがあります。
学力差の決定打となる時期は、学業面で子どもたちの間の理解度がどの程度かで差が出る単元が増えるという特徴があります。
たとえ真面目に勉強してきた子でも【よく分からない】と苦戦し、徐々に上位層と差が広がるということも普通に起きてしまいます。
そうした時期が来るのを事前に察知し、家庭で対処しておく、親子で心構えを作ってその時を迎えられるようにしておくと、学力差の決定打となる学年を乗り越えやすくなります。
学力差は一気にではなく、少しずつ積み重なって大きくなります。
だからこそ、早めに対策することが非常に効果的です。
なぜ学力差の決定打となるような分かれ道が存在するのかと考えてみると、学校の学びでも学年が上がれば抽象的思考が求められるようになり、そうした複雑化する学びに対応できる子とできない子がいる、ということだと思います。
子どもの学力差の決定打となる学年や教科があるのは、学習内容の質的な変化、そして学習習慣や思考力が大きく問われる転換期なのです。
教科ごとの積み重ねで差が出ることもありますし、学習習慣や自己管理能力が定着するかどうかの分岐点でもあります。
そういう子どもにとって勉強面で苦労しやすい学年と教科は、小学校4年生の算数、中学校1年生の英語と数学、そして中学2年生の2学期と理科と社会になります。
それでは、それぞれの学年で学力差の決定打となる理由をご紹介していきます。
小学4年生の算数
まず、小学4年生というのは子どもの学力差を大きく分ける分岐点の学年です。
10歳の壁、小4の壁として知られている学年なので、多くの親が【勉強頑張らせないと】と思う時期でもあります。
正直、この学年だけを頑張ればいいのではなく、その前の段階から学習習慣がないと少しずつ理解不足の単元が積み重なっていき、学力差が生じてくるのですが、ガツンと目立つのが小学4年生という認識で良いと思います。
とくに差が出やすいのが算数です。
この学年の算数が学力差の分岐点となる最大の理由は、学習内容が他の教科に先駆けて抽象的な思考力を本格的に求める段階へと進化するからです。
低学年までは主に四則計算といった計算技能が中心で、努力すれば誰でもある程度の成果を出せる内容です。
しかし、4年生になると、それまでの【パッとみて答えが分かる】から【目に見えない概念】の理解へと学びがシフトします。
塾で教えている時も、小学生でこのタイミングが一番勉強に対する本音が垣間見えるような学年でした。
つまり、サクサク解くのが好きな子は小学4年生以降の勉強には難色を示し、どんな問題でも構わないよ、というスタンスの子は涼しい顔で勉強していました。
小学4年生の算数は【分数】【小数】【面積の公式】【角度】などが代表的な単元であり、これらはすべて、単なる計算ではなく【システムの意味の理解】が求められます。
分数であれば、【1/2と1/3ではどちらが大きいか】という比較、小数であれば【0.1と0.01の違いを直感的に理解する力】など、単なる暗記では太刀打ちできません。
このように、小学4年生の算数は、後の学習の「土台」となる高度な思考力の入口であり、ここでの理解が不十分なまま進級すると小学5年生で学ぶ割合といった更に難易度のアップする単元で苦戦することになります。
そして、小学4年生頃になると低学年よりも授業スピードが上がり、先生の説明を一回で理解できるかどうかが重要になります。
家庭での復習習慣がない場合、躓きが蓄積しやすくなり、成績にもはっきりとした差が生まれ始めます。
また、この時期は子どもの性格によって【学習の自走力】に少し差が出てくる頃でもあります。
【自分で考える力】や【わからないことを質問する度量】、【間違いを直す習慣】が育ち始める時期であり、その有無によって子どもの学力も変化してくることを肝に銘じてください。
中学1年生の英語と数学
さて、中学1年生になると小学校時代との違いに戸惑いつつ、部活と勉強の両立、定期テスト対策などをしていかないといけません。
忙しい毎日を過ごしている中で、学力差は小学生の頃よりも広がります。
とくに中学1年生における英語と数学が子どもの学力差の決定打となります。
この2教科は中学以降の学習の土台となる科目です。
ここで躓くかどうかが、その後の学力の伸びを大きく左右します。
英語も数学も積み重ね型の教科であり、最初の基礎理解が不十分だと、以降の単元が連鎖的に理解できなくなるという特徴があります。
まず英語についてですが、中1の英語では、「be動詞」「一般動詞」「疑問文と否定文の作り方」など、英語の構造そのものを初めて学びます。
小学生の頃に英語の授業を受けてはいますが、英文法の学びが本格化するのは中学生になってからです。
我が家の子ども①②でも経験していますが、小学英語と中学英語は段差というか、崖といえるぐらいの落差があります。
つまり、中学英語が格段に難しくなっています。
中学1年の初期段階で英語の文法ルールや語順をしっかり理解できていなければ、その後に登場する過去形、助動詞、現在進行形などの学習にも苦労します。
また、英単語の読み書き、リスニング力、英文の読み取り、スピーキングなど、英語を使う力も親世代の頃より重視されています。
中1の英語は語学力の土台を築く時期であり、ここで躓くとますます苦手意識を強めてしまいます。
次に数学ですが、中1では「正負の数」「文字式」「一次方程式」「比例・反比例」など、これまでの算数とは異なる抽象的な概念が本格的に登場します。
最初の頃に学ぶ文字を使った式や、変数の概念は初めて学ぶ子どもにとって大きな壁となります。
ここで「式の意味」や「数の関係性」を正しく理解できないと、中学2年生、3年生で学ぶ関数や方程式、図形の証明など、より複雑な単元に進んだときに手も足も出なくなってしまいます。
そして、初めての定期テストや内申点という制度に直面し、自分でスケジュールを立てて勉強する力や、計画的に復習を重ねる習慣が求められます。
このときに、英語や数学でうまく結果を出せると【努力したら結果が出る】という成功体験となり、学習意欲が高まります。
逆に、ここで失敗してしまうと、【自分は勉強が苦手】と捉えてしまい、その後のモチベーション低下や成績不振につながりやすくなります。
このように、中学1年生の英語と数学は、単に【教科の入り口】ではなく、【学力の伸びしろを決めるスタート地点】です。
この時期の基礎固めと学習習慣の確立が、その後の学力差を決定づける大きな要因となるのです。
中学2年生の2学期と理科と社会
ところで、9年間に及ぶ義務教育期間の中で、最後に学力差の決定打となるのが中学2年生だと個人的には考えています。
そして、理科と社会の教科でもかなりの差が出てきます。
この時期と教科が学力差を生みやすい理由は、学習内容の難易度が一気に上がること、暗記だけでなく理解や活用する力が問われるようになること、そして高校受験を見据えた学習が本格化するタイミングだからです。
私も塾や子ども①②の周囲の出来事を見聞きしてきて、中学2年生というのは、いわゆる【中だるみ】の時期と重なりやすく、子どもたちの学習意欲が低下しがちな時期です。
中1の緊張感が薄れ、かといって中3の受験モードにもまだ入っていないこの時期は部活でも責任を持つ立場となり、【勉強はまだ頑張らなくても大丈夫だろう】と甘えが出てしまう子もいます。
勉強の手を抜くか、粘り強く取り組むかで学力の差が大きく開いていきます。
理科と社会は中1や中2の内容をちゃんと理解していないままだったり、覚えるべき用語や公式を定着させていないと中学2年の成績が上向きになりにくくなる原因となります。
理科では、【電流と磁界】【化学変化と質量】など、抽象的かつ計算を伴う単元が登場します。
これらは表面的な暗記では太刀打ちできず、根本的な理解と論理的思考力が求められるため、つまずくと自力での挽回が難しくなります。
一方、社会では日本地理から歴史へと学習範囲が広がる中で、中2の歴史では特に近代史の理解が重要になります。
明治以降の歴史は、出来事の因果関係や背景知識を理解する必要があり、単なる語句暗記では対応できません。
中学3年生の公民分野では現代社会の仕組みや政治・経済に関する抽象的な内容が増えるため、中学1年と2年生の内容をしっかり復習しつつ、公民分野に備えないと高校受験でも苦戦することになります。
理社は個人の興味関心による点数差が出やすい教科でもあるので、中2のこの時期に基礎を固めておくかどうかが、中3での受験対策の効率と結果を大きく左右します。
受験に向けた本格的な勉強が年明けの春から始まると思う子も多いですが、【中学3年生の春から頑張る】では間に合いません。
中学2年生の冬休みまでにかなりの理解不足があると巻き返すのは難しくなります。
サクッと短期間で成果を出したがる子は少なくありませんが、それが実現できる子はこれまで学んできた単元での理解不足が少ないことが前提です。
小学4年生と中学1年生は、学力差が生まれやすい分岐点で、中学2年生になると高校受験までカウントダウンが始まる時期となり、それまで積み重なっていった学力差が確定的になる時期になります。
この3つのタイミングを意識して、早めのサポートや見直しを行うことが、将来的な学力差を防ぐカギになります。
小学校4年生と中学校1年生で【わかったつもり】を放置せず、基礎の徹底をしていくことで、【小学校高学年での勉強を理解できる】という状態にし、【中学の勉強に対応できる力を身につけて受験勉強にも通じる学習習慣を仕上げる】という流れを作るようにしましょう。