塾で働く前、塾に通うのはお金持ちが多いと思っていました。

たしかに、半分当たってはいますが、裕福=勉強に意欲的、という図式は当てはまらないのを身をもって感じました。

 

 裕福だから、ものすごく出来るわけではない、の衝撃

 

私が塾講師になったのは、ちょうどゆとり教育が施行される前年でした。個別形式の塾が今のように世間に浸透し始める手前の時期で、様々な生徒が教室のドアをくぐってきました。

教室は某県某市郊外の新興住宅田畑を所有する昔ながらの家屋が混在するのんびりとした街の一角にありました。そういう土地柄なのか、各家庭によって教育の意識の差は天と地ほど大きかったですね。

私は勤務2年目から年長から通塾できる、主に小学校低学年向けの少人数制プリント学習の時間も任されるようになりました。

そして、数ヶ月も経たないうちにあることに気が付きました。

 

曜日で異なる、親のカラー

 

平日の夕方は近所の公立小に通う子供達、土曜日の早い時間帯(土曜日は授業数が多いので午後1時~3時は子供向けに設定されていました)は隣町から裕福層の子ども達(その地域の公立小通学)が通っていました。

 

保護者の熱心さも平日の親御さんよりも上回っていました。確かに、とてつもなく出来る子(最難関大学に進学)は一人いましたが、第三者として冷静にみると、両者の間に大きな学力の差は思うほどありませんでした。

低学年から塾のプリント教室→3,4年で集合クラスに行く子供たちと幼い頃の自分を重ねても、低学年での学習の能力と経済格差の影響は微々たるものだな、と。

私の小学生時代の詳細はこちらの二記事に書いてありますが、保護者面談などを通じて感じたのは、やはり経済力より子供への気持ちが大きく影響しているということでした。

 

子供時代①子供時代②

 

とりあえず塾(習い事も多く、それらを子守りがわりにしている)に通わせておこう、というスタンスの家庭の子供は落ち着きがなく、解ける問題なのに先生に聞いてくる、とても依頼心が強い子が多かったです。

自分自身が親になる前でも、あ~、この子は愛情不足なんだろうな、と感じてしまう場面に遭遇することも何回もありました。

塾事件簿・答えが消えた!?

 

今から14,5年前の話です。(登場人物は多少、加工しています)

他の子よりも多い習い事をして、平日は習い事(バレエ・スイミング・ピアノ・英語など)で放課後の予定はギッシリ。長期休暇は海外旅行に行くのが決まりという、裕福な家庭のA子ちゃんがいました。

その子、Aちゃんは毎週土曜日に通塾していました。

ちょっと問題が難しいと(九九が終わり、二桁×一桁あたりから)むくれる→私がなだめるの繰り返し。他の生徒に説明していると、早く来て!と言ったりと甘えん坊タイプの生徒でしたね・・・。

まぁ、どこの世界(保育園、幼稚園、小学校低学年)でもそういうタイプの子はいます。

勉強に関しては、理解力もあるので、依頼心がなければもっと出来るのにと常々思っていたものです。

ある土曜日のクラス終了後。子供たちのプリントを採点しようと思ったら、ちょうどAちゃんの単元の答えの冊子が棚から消えていたのです!

 

まだ低学年なので計算しながら答え合わせもできますが、夕方からの中学生の授業の準備もしないといけないので、私は焦りました。

 

 冷静に確認の電話をしたところ・・・

 

同僚の先生に事情を説明し、あちらこちら探しましたが、見つかりません。

棚は教室の端にあり、生徒の目に入る範囲に置いてあります・・・。生徒を疑うのは嫌なことですが、おかしい・あやしい、という気持ちを抱いたまま夕方からの授業に入りたくありません。

熟考し、今日来た生徒さん全員に、間違えて答えを持って帰らなかったか確認の電話をかけています、と説明し、最初にAちゃん家に電話をかけることにしました。

モヤモヤしたままではいやなので、受話器をとりピポッパと番号を押すとお母さんが電話口に登場。私は計算用紙に走り書きした台本を見ながらロボットのようにしゃべりました。

ちょっと待ってください。確認してきます。と言ってから数十秒後・・・。

「あ~、ありました。間違えて持って帰ってきたそうです。来週でもだいじょうぶですか?」

「は、はい、けっこうです~」

次の土曜日、無事に戻りました。Aちゃんは素知らぬ顔してました。

 似たような高い経済水準でも・・・

 

土曜日にはAちゃんと同じ地域に住んでいる姉弟も通塾していました。仮にB兄妹としましょう。AちゃんとB家の妹さんとは同級生です。

B家もA家と同じ経済水準で恵まれた御家庭でした。

B兄弟は本当に分からない場合や、初めて見る計算や問題以外は私に質問してこな、極めて学習意力も高く黙々と問題を解きました。その姿には毎回関心していました。

同じ地域の公立小・父親は勤務先は違うものの同じ職業。家庭環境はほとんど同じですが、お母さんのスタンスがA家とB家では大きく異なっていました。

A家とB家の子育ての考え方

 

Aちゃんは平日キツキツに習い事を入れているけど、B家は平日はスイミングとピアノと小学生の定番の習い事のみ。

実はB家には長女さんがいました。お母さんは最初の子だから、良いと聞いた早期教育ガンガンやってしまい、その反動で勉強大嫌いになり、お母さんはそれ以降長女さん(当時5年生)には勉強系の習い事はさせていませんでした。

B家のお母さんは長子の反省を踏まえ、子供には無理強いをしない方針の下で習い事を選んでいました。

子供の進度よりも勉強態度や自分で解こうとしているか、私語はしていないか、ということを常に気にしている姿勢を貫いていました。

Aちゃんのお母さんは早い時期からイロイロと覚えさせれば後が楽だろう、という考え方の持ち主でした。

私が一番に気なったのは、子供のAちゃんを「彼女」と呼んでいた点です。ちなみに、その時Aちゃんは小学2年生でした。何度かの面談を通じて分かったことは、お母さん本人が子供というものがそれほど好きではない、ということ。

 

母になっても、子供への愛情深度は人それぞれ違うものなんだ、と痛感しました。

 

 

幼児期のドライな親子関係は問題の引き金になりかねない

 

また書く機会があると思いますが、母親が子供というものが好きではない家庭の生徒は何人かいましたが、壊滅的に学習意欲がない・女の子だと異性に走る傾向がありました。小学生の頃頃から通塾しても根本的な解決にならない問題です。

 

そして今、子育てをして小学二年生を通過した子供①のことを、「彼・彼女」とは呼べない自分がいます・笑。

返事を書く

Please enter your comment!
名前の記入