今回は【保護者注意 今さらながらの小学校での英語教科化】と題し、お話をしていきます。
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2020年度に小学校で英語が教科化されました。
小学5年生、6年生で教科として授業が行われ、通知書で評価されるようになり2024年度で早くも5年目となりました。
我が家の子ども①が小学校6年生の時が2020年度ということもあり、学習指導要領改定による英語教科化の第一期生にあたります。
ただ、あの年はご存じのようにコロナ禍で学校の臨時休校などバタバタ続きで、本来ならば大々的にニュースになる、教育業界の一大イベントになるはずだった英語教科化も静かな始まりとなりました。
とはいえ、教科化になるまでには色々ありました。
小学校での外国語活動の増加などは21世紀に入ってからのゆとり教育での総合的学習の時間で行われ、そこから小学校の英語教育のあり方が議論されていき、2016年度に「2020年度から小学校の英語教科化」が決定されるという歴史があります。
ですから、いきなり「2020年4月から英語教科化しますね」ではありませんでした。
教育に関心の強い家庭では英会話教室、公文や学研の英語、塾で開いている小学生向けの英語のクラスなどに通い「英語に触れさせる」ということをしているのも珍しくありません。
その一方で、「小学5年生から取り組ませれば大丈夫」「英語教育が本格的になるのは中学生になってからだし」と思っている方もいます。
それでは、5年目となりある程度落ち着いてきた小学校英語、ここでは公立小の実情を改めて考えていきます。
1.本当に英単語練習などの宿題は出されない
まず、英語は日本語と同じように言語です。つまりは言葉です。
言語を理解するには語彙を覚え、文法を理解することが不可欠です。
親世代が子どもの頃は英語のスタートは中学入学後であり、ごく一部の子を除けば大半の子は入学後に一斉に英語の勉強を始めていました。
中学での英語の授業ではまずアルファベットの練習から始まり、数字や月、曜日、代名詞など基本的な英単語を学び、英単語の練習の宿題、課題が出されることがありました。
中学校では小学校の頃とは異なり教科担任制ですから宿題を出さない先生もいますが、定期的に授業内で「英単語の小テスト」が行われ、必然的に英単語を必死に覚えないといけませんでした。
しかし、小学校の英語の授業では国語での漢字練習のように英単語練習が宿題として出されることはありません。
教科書に出てくる英単語を書くことも読むことも、英会話表現の中で話すこともありますが漢字のように「来週、英単語テストを行います」というものはないです。
英単語に触れるだけですから、子どもの負担は少なくてすみます。
我が家の場合、小学英語を経験している子ども①、子ども②の英語で宿題というか課題のようなものは「次の授業で将来の夢について英語でスピーチするからその内容を家で書いてくる」というものでした。
そうした課題も頻繁ではなく、年間を通して数回程度です。
授業で習った表現をもとに書くことや、自分の夢を語る上で必要な英単語が教科書などになければ調べて書くようにと指示されていました。
ですから、親が中学1年生の頃に経験してきた英語教育とはかなり違います。
英語に親しむ、英会話に慣れていくというもので【ガッツリ勉強】というものではありません。
2.小学校で扱う英単語数は600語から700語
ユルッとした雰囲気の小学英語ですが、実は文部科学省の方も、つまりは国の方針では「小学校での英語学習では600語から700語くらい触れる」とあります。
数字が明記されていますから、公立小学校で使う教科書、授業でこの数字を下回ることは許されません。
緩い中でも「600語から700語の語彙に触れて勉強している」わけです。
小学校6年間で学ぶ漢字は1026字ですから、326語程度の差です。
かたや毎日のように漢字練習の宿題が出され、こまめにテストが行われ、50問テストで合格点をクリアしなければ再テストがあるのに比べると、600語から700語でも書きの練習が強制されないことに一抹の不安を覚えるかもしれません。
建前上は「小学校で600語から700語に触れて、聞いたり話をしたり読んだり書いたりしています」と英語を学んでいますが、どのくらい語彙力がついているかはある意味、児童次第、家庭次第です。
学校の英語の授業だと英単語の定着が難しそうと考えて小学生向けの英語ドリルを購入して日々の家庭学習に取り入れている家庭もあれば、「本格的に始まるのは中学校からだし」と勉強に取り組むのを先にしている家庭もあります。
しかし、いくら「聞く話す読み書きの四技能」を小学校の頃から取り組んでいても、英単語を覚えるといった語学を学ぶ上で不可欠な勉強をしていないのでやはり家庭の考え方により子どもの英語力の土台がどれだけ仕上がっていくのか左右されてしまうのが現実だと個人的には感じています。
3.中学英語との落差
小学校で英語の授業が行われるようになり定着した雰囲気となり、英語四技能、つまり「読み」「書く」「聞く」「話す」を取り入れていますが、英文法をガッチリ勉強することはないです。
be動詞、一般動詞の区別、三人称単数が主語の時は一般動詞にsをつけるという基本的な英文法の知識に重点をおいていません。
取り扱う英会話表現の中に普通にbe動詞、一般動詞が混在しています。
中学英語のように違いを説明することはないです。
例えば【なになにしたい】という I want to~、や【なになにするのが好き】というI like to~という表現を英文法的な【これは不定詞です】という説明なしに表現として覚えるという流れになります。
それでは中学での英語はどうなっているのか気になりますよね。
単刀直入に言えば、中学で使用する教科書も親世代の頃よりも難しくなっています。
英会話表現が増えています。
まず英単語、語彙の量ですね。
ゆとり教育時代では中学3年間で900語、その後は1200語に増えた語彙の数も2021年度の中学での学習指導要領改定から1600語から1800語になっています。
その前の段階、小学生の間に600語から700語を学んできているわけです。
重複などもありますが。かつての中学1年生とか2年生で学んできた英単語を小学2年間で学び、中学ではさらに1600語〜1800語に触れるわけですからその量の語彙を取り扱うということは、学習内容も難化します。
これは公立中学の話ですから、私立中学ではさらに多いと思ってください。
中学に入れば「英語は勉強するもの」という要素を取り除いたユルッとした小学英語とはガラリと変わり、英単語テストや英文法の勉強もあります。
しかも、かつてのように【中学に入って最初の頃はアルファベット練習や曜日を覚える】ということに時間をかけません。
【小学校でそういう基本的なことはやってきましたよね、授業を受けていますよね】という前提で授業が進みます。
中学1年生は英語に触れてきた、学んできた状態ということで中学英語がスタートします。ですから、親世代とは全く別物の中学英語です。
語彙も増えている。そのため学ぶ文章も単調なものではなく、色々な表現がある難しい内容になる。
英文法のルールも覚えないといけない
リスニングもあるし、英作文も学んだ語彙が増えているので書かせる問題のレベルもアップしている。
小学英語と中学英語は別物ですし、【中学からやれば間に合う】という考えは捨ててほしいなと思います。
まとめ
小学校での英語教科化がスタートしたことで、中学英語が難しくなっています。
とくに英単語は漢字と同じように【後から覚える】と先送りにしていると、気がついたらかなりの数の英単語の読み書きが怪しくて、短期間で挽回するのが嫌になる、できないということも起きてしまいます。
英単語、熟語など学ぶ量も増えているので小学生の頃から習った単語を定着させる、漢字のように、ある程度は読み書きできるよう練習するなど中学英語に向けた対策は必須です。