今回は【子どもの学力 10歳の壁を越えられず高学年で挽回するのは無謀なのか】と題し、挽回する過酷さと覚悟、乗り越えるための心構えや何をする必要があるのか、ということについてお話していきます。
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ブログでもYouTubeでも関心の高いワードの一つが『10歳の壁』『小4の壁』です。
それだけ多くの方々が子どもの10歳前後にやってくる変化、学力格差などを気にしている証なのかもしれません。
学校の学びも、公立小は簡単と思っていても小学校3年生から4年生にかけて学力グループが形成されていき『いつも高得点を取っている子』『そこそこ勉強ができる子』『勉強は苦手にしている子』というのが子ども達の間での共通認識になっていきます。
子ども自身の成績が低迷してきている、授業を受けても分からないと感じることが増えてきても心の成長もあって親に素直に『分からない単元がある』と口にしない子も増えます。
まず、勉強で困っていることを親に伝えると親は叱責し、問題集やドリルを購入して勉強時間を増やそうとします。
もしくは塾などに入会させられるかもしれません。
そういう事態になるのが嫌なので『分からない』と口にできない子もいます。
現実逃避をして『何とかなる』と永遠に子ども時代が続くと信じている子もいます。
そして、子どもも他の子と自分との違い、学力差を感じて自分のできない部分を必死に隠そうとする子もいます。
現実を直視できず、勉強について悩んでいない風を取り繕うので、対策が後手後手に回ってしまうという負の側面もあります。
子どもが本当に悩んで、困り果てて親を頼るようになる時は、たいていかなり深刻な状況になっています。
10歳の壁を過ぎて、学力差が生じてから『挽回して中学進学に備える』と考えても、楽観視できないほど現実は厳しいです。
挽回を目指すのは無謀ではありませんが、親子ともども相当な覚悟が必要です。
今回は、10歳の壁を越えられずに高学年で心を入れ替えて挽回するのにどのような覚悟が必要なのかを考えていきます。
1.動画視聴やSNS時間の決別または激減を覚悟する
子どもの学力差が出ることや反抗期など10歳の壁、小4の壁にも含まれて語られることが多いですが、10歳前後になると親の言うことを素直に聞かない子もかなり増えてきます。
友達の影響を受けて、楽な方にも、そして勉強を頑張ろうという意識を持つ方にと、どちらの世界に転がっていってしまうような時期です。
親としては『どっちの方向に進んでいくのか』と気にすべきですが、どうしてもテストの点数に意識が向きがちになるので子どもの交友関係を把握することもしてください。
そして10歳の壁を乗り越えられないまま5年生、6年生になってから挽回するとなると、これまでの生活の流れを全て変えていく覚悟が必要です。
10歳頃になると小学生の中には自分用のスマートフォンやタブレット端末を所持している子もいます。
親がフィルタリングを設定していても、友達とフィルタリングを解除使用とする子もいます。
また、仲の良い子の中に家庭でフィルタリング設定もしていない、スマートフォンやタブレット端末の使用ルールも決めていない子もいる可能性も十分考えられます。
『うちの子はルールを守っている』と思っていても、周囲の子に緩い子がいれば『一緒に遊べば動画視聴もSNS投稿もできる』と楽な方へ流れていきます。
そうした勉強の妨げになることを全部断つことができるかどうか、というのを親子で考えてください。
友達と過ごす時間を減らすには、勉強系の習い事に入会するなどの行動に打って出るのが現実的な対策です。
小学校高学年になっていると親の言動に歯向かう子が増えるので、『遊んでいる時に動画視聴やスマートフォンを使うのは辞めるようにしたら』と言っても、そんなことを素直に聞いてくれるわけないです。
子どもを信じて待つよりは、親が積極的に動いて動画視聴やSNSの時間を削減していきましょう。
2.仲の良い友達と過ごす時間が減ることを覚悟する
10歳の壁を乗り越えられなかったけれど、高学年から挽回するよう動いていくとき、学習時間を確保することが不可欠です。
避けては通れません。
そうなると、放課後や土日祝日に友達と遊んでいた時間の多くを勉強時間に費やすことになります。
そこまでしないと挽回できないのかと思われるかもしれませんが、小4の勉強で複数の教科で苦戦するようになっているのを放置して学年が上がっいれば、小4内容だけでなく、その前の学年、つまりは小3内容の復習も含めて、覚悟を決めて総復習をする必要があります。
一般的に小学4年生から学力差が目立つと言われていますが、漢字であれば小学3年生で習う漢字から難しくなり正確に書けない子が増えてきます。
学校の50問テストでも、再テストが行われるようになり漢字スキルの差が出てきます。
高学年になってから挽回する場合、小学3年生と4年生ですでに習った漢字も含めて全部やり直しをしていく必要があります。
そして、算数であれば四則計算を盤石になるために計算問題に取り組み、単位換算や図形問題がスラスラ解けるかチェックしてよく理解していない単元があればそこに力を入れて勉強して、そこから今の学年で習った内容を復習するという流れになります。
国語算数だけでなく、理科と社会も同じように復習をしていく必要があります。
小学5年生、6年生の学びは中学進学に備えてそれなりに難しくなるので、それに耐えられるよう学力を鍛えていかないといけません。
ある意味、小4の壁、10歳の壁を越えるということは高学年で学ぶ単元を理解できることを意味するので、壁を越えられないでいる子は5年生と6年生の学びで苦戦するのが確定しています。
苦戦するのが分かっている戦いに臨むのですから、今まで付き合ってきた友達と一緒にいる時間を減らす覚悟が必要です。
おそらく、10歳の壁を乗り越えられないということは勉強を二の次にしていた状態が続いていたということでもあります。
普通に宿題をして家庭学習をしている子でも乗り越えるのに一苦労するので、越えられない子は宿題をするけどそれ以外の勉強を普段の生活でしてきていない子が多いと思います。
してはいるけれど、学習量が少ないと学ぶ内容が難しくなれば当然壁にぶち当たります。
そして、勉強を軽視していたということは親の家庭学習の進め方や重要性を説明してこなかった責任もあります。
学年が上がれば勉強に対して似た思いを持っている子同士が集まりやすくなります。
放課後、習い事や学習系の教室に通っていない子も徒党を組んで遊びに出かけるので、勉強から気持ちが離れていきます。
似た者同士で仲良く遊ぶわけですが、裏を返せば『これから挽回する!』と決意したら全て変えていく覚悟で、今の友達と一緒にいる時間を減らして勉強するしかないです。
11歳くらいになると親よりも友達を重視する子が増えてきます。
そうした中で、友達と疎遠になっても構わないという強い意思を子どもが持ってるかどうかにかかってきます。
3.自分の今の学力と真正面から向き合い受け止める覚悟
子どもの特権の一つに『自由な時間がたくさんある』というものがあります。
大人になって小学生時代を振り返ると、自由気ままに過ごしていた方も少なくないと思います。
これは大人になれば気がつきますが、子どもはそういう大切なことに気づかずに成長することが多々あります。
かく言う私もそうでした。
このまま子ども時代が続くと信じて疑わないのですが、着実に年齢を重ね、学年も上がっていきます。
そして、塾の模試や塾に通っていない限り、多くの小学生は自分の学力を偏差値や順位で知る機会はありません。
自分の本当の学力に気がつくのは中学校に入ってからです。
しかし、中学に入ってから心を入れ替えて勉強に励む子は本当に少ないです。
部活動もあり忙しくなります。
そうした日常生活が大きく変わっていく中で、小学校6年間家庭学習もあまりしてこなかった子が「挽回するぞ!」にはなりません。
中学に入ってから勉強する、勉強させよう、という考えでは甘いです。
とにかく小学校高学年の時点でどうにか対策を打って行動することがベターです。
子どもが自分の学力を受け止める、知るというのは家だけではなかなか難しいものがあるので、塾が開催している模試や無料講習会などに参加して『リアルな学力はこの位』を知る機会を作ってみてください。
塾のテストは確かに応用問題が多いですが、最初の問題は基礎問題メインなのでどれだけ取れているかで学校内容の定着度も分かります。
『この問題が出来ていないということは前の学年の学びがちゃんと定着していないことを意味している』と話をして、どうしていきたいのか親子でしっかり話し合いをしてください。
高学年になると現実的な話をしようとすると逃げてしまう子がいます。
逃げる子はこれから先も嫌なことがあればずっと逃げるので、今がラストチャンスと思ってお互いの気持ちを思う存分出し切っていきましょう。
場合によってはケンカ腰になるかもしれませんが、本格的に思春期に突入すると親の方を見向きもしなくなる子もいるので、親も逃げずに『将来どうしたいのか』『今の学力はどう考えているのか』『どうすれば良いと思うのか』を語り合ってください。
まとめ
10歳の壁は親にとってはとても面倒な年頃です。
反抗期に入るし、学力差は出るし、しかも中学進学がそろそろ見えてくるし、と悩み事が一気に増えてきます。
ただ、10歳の壁を越えられない子が何もしないで学力が改善する、挽回することはありません。
高学年の時期に対策をガッツリしておかないと、挽回するのは大袈裟ではなく不可能に近いです。
『まだまだ小学生だし』と思わずに、親子で現実を受け止めて過酷かもしれませんが大胆な行動をしていきましょう。