今回は【のみ込みの早い子でも伸びない子の特徴】と題し、お話していきます。
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ありがとうございます。
説明を聞いてすぐに理解できる子を【のみ込みの早い子】と評し、賢い子の特徴の一つとしてよく取り上げられます。
公式を教えるのに何回も説明をし、例題を繰り返し解いて覚える子もいるので、一回の説明で何となく分かり、実際に問題を解いて【分かった!】という子はとても目立ちます。
塾で仕事をしている時も、説明を聞いて理解するまでのスピードはかなり個人差があるというのを実感しました。
それが賢い子になるかどうかの唯一の能力ではありませんが、理解する力が小さい頃からあると学年が上がり、難しい内容を学ぶ時も楽です。
また、何度も繰り返し聞いてようやく理解する子の中には途中で諦めて【自分は勉強が苦手だ】と思い込みやすいです。
その一方で、のみ込みが早いと【理解できない】というストレスがほとんどないので勉強に対する嫌な思いを持ちにくくなります。
さて、のみ込みの早い子は地頭が良いと同じ意味で捉えられて、【進学校に合格できそう】と小さい頃から噂になるようなタイプです。
しかし、言っていることをすぐに理解できても必ずしも伸びるとは限らないこともあります。
伸び代しかないような子でも失速してしまうのはどうしてなのか。
どういう特徴があると伸び悩むのかをご紹介していきます。
1.早合点しがち
のみ込みが早いということはパッと問題を解くことが出来て、他の子よりも早くにテストが終わってしまいます。
理解力があるので説明の途中でも【分かったと!】となってしまうことがあります。
低学年の頃の学びはまだ基礎的な内容ですから、長い説明は必要ないかもしれません。
しかし学年が上がり、学びの内容が深いものになり、複雑化すると先生の説明も複数に分けて行われます。
例えば、理科の実験では一回の説明ではなく、手順を順を追って説明していきます。
早とちりしてしまうと【こうやってやるんだ】と先生の話を最後まで聞かずに思い込みで実験を始めてしまう子もいます。
そうなると、間違いなく先生から叱られます。
算数でも、計算問題は一桁+一桁から、二桁、繰り上がり繰り下がりがあるかないか、、そして三桁の計算と1年、2年、3年とレベルアップしていきます。
高学年からは小数と分数の計算を勉強しますが、ご存じの通りそれぞれルールがあります。
小数であれば掛け算や割り算の時の小数点の移動、分数は分母を合わせる。
計算力、計算スピードがあっても細かなルールを正確に理解していないと正しい答えを導き出すことができません。
こうした手順を聞く、こうなったらこうなって、と思考力を問うような学びの存在感が増していくと、いくら理解力があっても早合点して自己解釈しがちだと正しい知識を得ることができません。
例えば、中学での数学の証明は段取りの塊のようなものです。
一番有名なのが三段論法です。
ものすごくザクっとした、荒い言い方ですが条件を理詰めで説明し、【これは三角形です】と証明していく単元です。
こうした論理的思考力の学びは小学生なら高学年での割合、速さに相当すると思います。
高学年頃から算数の出来不出来、苦手意識が出始めるのもパッと見て答えを出す学びではなくなってくるからです。
のみ込みが早く、処理能力が速くても冷静になって考える力がないと伸びなくなります。
2.親が【うちの子天才】と勘違いして悪い方に流れる
のみ込みが早い子は理解力があるので、周囲の子よりも目立ちます。
何度も教えてようやく理解してくれる子と比べれば、【賢い】と思われるのも当然です。
幼児期、小学校低学年の頃は賢さを比較する分野は限られています。
漢字の読み書き、計算力、暗記力などでしょうか。
こうしたものはのみ込みが早い子が得意です。
そうなると周囲の人も【あの子スゴイね】という目で見ます。
【別格だよね】【うちの子とは違う】という大人からの評判が耳に入れば子どもも【自分はスゴイ】と思ってしまっても不思議ではありません。
そして親の方も、【同級生の子より勉強できる】と受け止めてしまっても不思議ではありません。
子どもを褒めることは悪いことではありません。
しかし、こういう言動をしていき【あなたは特別な子】と言い聞かせて育ててしまうと子どもは【自分は天才】と思い込む子もいます。
そうなるとどうなるでしょうか。
自分はのみ込みが早い子、理解する力がある子だから他の子よりも努力しなくても勉強ができる、と慢心が出て来る可能性があります。
神童はそういう慢心の気持ちがムクムクと育つことはないです。
明らかに他の子よりも出来るけれど、努力をし続けられる謙虚さ、忍耐力があります。
のみ込みが早い子と神童の違いは泥っぽい、昭和的な感覚かもしれませんが『根性があるかどうか』で、令和風で言えば『やり抜く力』です。
低学年の頃はまだ良いですが、努力の積み重ねで言葉は悪いですが自分よりも理解力のない子、親から見たら格下の子に成績が抜かされるということも起きます。
日本ではオリックスブルーウェーブ、メジャーではシアトルマリナーズで大活躍したイチロー選手の有名な言葉、【僕には野球の才能はありません。 でも、続けることができるのを才能と呼ぶのなら僕にはその才能があります】の通り、続けることができないと能力を伸ばし、開花することができません。
いくら素質があっても努力をしなければ芽はしぼんでしまいます。
3.間違い直しをするのが苦手
のみ込みが早いのでドンドン問題を解ける子も、学年があがり考えさせる問題が増えてくれば間違いをすることや解くまでに時間がかかるようになります。
サッと問題を解くのが得意でそれが美学、つまりは良いことだと思っている子は小学校1年生から2年生、3年生から4年生、そして5年生6年生と段階を踏んで難化する学習内容を嫌がり、いつまでも基本的な内容の問題を解きたがります。
また、学力をあげていくには間違った問題を解き直すという取り組みをしていく必要があります。
間違い直しは多くの子どもは嫌がります。
しかし、間違えたままにしておくと似た問題でまた間違えることを繰り返してしまいます。
私も塾で仕事をしている時、計算問題がそれなりに得意な子が途中で嫌になる単元が複数ありました。
一つは、桁が増えた繰り上がりと繰り下がりの計算。たいてい、三桁以上になるとミスが多くなり直しをする問題が増えてやりたがろうとしません。
二つ目が小数の計算での小数点の移動です。
子ども的には『数字が合っているからいいでしょう』という感覚で、小数点の場所を間違えたことの重要性を理解してくれない子がそこそこいました。
1.68と16.8は全く別の数字ですが、『答えの数字は同じ』と一点張りで困ったことが何度もありました。
そして三つめが最小公倍数と最大公約数です。
これは分母を合わせることにも関係しますが、出来ない子は親が思う以上に多いです。
最小公倍数と最大公約数のそもそもの意味を理解していない子もいます。
説明して問題を解くわけですが、説明を聞く前に問題を解いて間違える。でも問題直しは面倒、とむくれるを繰り返す子も少なくないです。
よく考えると最小公倍数と最大公約数は論理、仕組みをちゃんと理解していないと出来ない単元です。
子ども②の小学校時代もこの単元の時はテストが深刻な状況になり、先生が補助プリントを出していました。
間違える単元が、一つ、二つ、三つと増えていけば理解不足の単元が山のように積み重なり、結果として学力低迷の原因となります。
しかし、理解力がある子は自分で『できる』と思っているので間違いを認めないこともあります。
『今回はたまたま』と言い訳するのは伸びない子の特徴です。
素直に『やり直す』と口にしてやり直しをする子は確実に伸びます。
間違い直しから逃げてばかりいると学力向上、応用力を身につけることができません。
いくら理解力が早いというスキルを持っていても勉強への意識を変えないと成績は下がっていくようになります。
非常にもったいないです。
今の公教育は思考力、記述力、読解力を重視しており、早く答えを見つけるような昭和的な問題が減ってきています。
考えさせる力を鍛えるので、のみ込みが早い子の中でも『この問題形式は苦手』と感じる子がいてもおかしくないです。
ただ、苦手を放置しておくと確実に成績が伸び悩みます。
まとめ
小さい頃の【のみ込みの早い子かどうか】で全ての学力、将来の進路が決まるわけではありません。
勉強する上で大きなメリットであることは間違いないですが、説明をちゃんときかない、努力できない、間違い直しをやらないという傾向があると、当初思っていたような成績、進路進学とはだいぶかけ離れてしまいます。
理解力がある子なら、『うちの子スゴイ!』という気持ちを一旦心にしまいこんで『この良さをどうやって伸ばすか』『伸びない子にならないよう気をつけよう』と意識していきたいですね。