今回は【親が感じる高校受験のデメリット】と題し、お話していきます。
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ありがとうございます。
地方に住んでいる教育熱心な親がインターネットや雑誌などで情報を集めようとすると、幼児期や小学校の頃は『中学受験の話ばかり』ということに気がつくと思います。
人口が集中している大都市圏では中学受験熱が高まっており、自ずと子どもの教育というと高校受験よりは中学受験がクローズアップされやすいといえるでしょう。
中学受験ありきの情報に触れると、本当に同じ日本なのかと驚くと同時に『高校受験組で大丈夫か』と地方に住みながらも不安を感じる方は多いと思います。
とくに子どもが大学進学をすることを前提とした子育てをしている場合、『中学受験した方が我が子にはプラスになるかも』とアレコレ考えてしまいます。
しかし、地方では子どもの進路進学の選択は限られています。
まず、中学受験と言えば私立中学ですが、学校があったとしてもそこに通う子は本当に限られており、一部の自治体を除くと地方の私立中学の受験自体がレアです。
次に、親世代の頃からある国立大学附属中の受験する子もごくわずかながらですがいます。
東京都内の国立大学附属中の受験とは異なり、地方の国立大学附属中への進学では内部生と受験生の入れ替えというものがほとんどありません。
附属小の子が他の中学に進むといった理由がない限りほぼそのまま、附属小の児童は中学に内部進学という形で進むので、中学での募集人員は多くないです。
ただ、附属中を受ける子というのは通学可能距離も指定されていることもあり、本当に限られていました。
そして、概ね東日本に多いのですが国立大学附属は中学までで、高校がないので生徒は全員高校受験をすることになります。
中学受験をしてさらに高校受験をするという子も全国的にみれば少数派ですがいます。
そして、親世代の頃にはなかったものの21世紀に入ってから公立中高一貫校が誕生したことで、地方でも教育熱が高い家庭では中学受験を子どもの進路進学の選択肢の一つとして考えるようになりました。
大都市圏ほどではないにしろ、『中高一貫校を経由して大学受験をする』という家庭もおり、教育に関心のある親は子どもが小学校低学年の頃から『中学受験と高校受験のどちらがよいか』と真剣に考えて、場合によっては公立中高一貫校を受けるという選択していくという流れになっています。
インターネットが普及して教育に関する情報は住んでいる地域に左右されず入手できるようになった分、中学受験のメリットが気になり高校受験のデメリットばかりが気になる方も増えているのでは、と個人的には思ったりしています。
そこで今回は、改めて高校受験のデメリットを考えていきます。
もちろん、高校受験を否定する必要は全くありません。私も子ども達も高校受験組です。
敢えて、その経験を踏まえてデメリットをお伝えして、どういうことに気をつけるべきなのかをお伝えできればと思っています。
1.大学受験までの時間が短い
数ある受験の中でも、大学受験は入試制度が多種多様で、受験シーズンもかなり広いです。
親世代の頃は筆記試験が一丁目一番地と言わんばかりに入試の中心でしたが、今では総合型選抜、自主推薦、昔からある指定校推薦、そして筆記試験と多様化しています。
早い子は夏休み明けの9月や10月から願書を提出して年内に入試があって合否も決まります。
一番遅いのが3月中旬から下旬に行われる国公立大学の後期試験ですから、受験シーズンは半年近いという長丁場の戦いです。
それでは、高校受験組が高校に入ってから受験までの流れを考えてみると、早い子は『高校3年の夏休みに志望校受験に向けて万全の対策をしてきている』になっています。
高校入学をして2年数ヶ月後に受験が迫ってきているのです。
指定校推薦も高3の秋頃から本格的に校内選考が行われるので、高校1年と2年の評定や課外活動などをしっかり条件を揃えるよう学校生活を送ってきている子でないと学校から推薦されません。
全ての入試制度を対象として大学受験を突破しようとする場合、高校1年生と2年生でしっかり準備をしておく必要があるので、高校受験組は入学したと思ったらバタバタしたなかで大学受験を意識する必要があります。
そして、この大学受験でのアドバンテージのなさがまさに高校受験のデメリットの代表格でもあります。
高校受験組の大半は高校内容の先取りをすることができません。
入試が行われる日程にもよりますが、中学3年の3月上旬くらいまで全力で入試に向けて勉強しています。
その勉強はもちろん中学の内容になります。
その一方で、中高一貫校の同級生は概ね中学3年生から高校内容を学習しています。
そして、高校3年ではまるまる大学入試の勉強に時間が充てられるというのが中学受験のメリットとして語られることが多いです。
そのことを考えると、高校受験組の学びは1年は遅れることになります。
入試までの準備期間が短いので、『いかに中学生の頃から高校内容を先取りできるか』が高校入学後のスタートダッシュを決める大きなカギとなります。
受験勉強を蔑ろにして高校の勉強に力を入れて、志望校が不合格となるのは本末転倒ですが、英単語など手軽に先取りできるものから少しずつ着手しておくことをおすすめします。
なにせ時間が足りません。
高校受験を経由して大学受験をする場合は、残されている時間は限られていることを忘れないで学校生活を送ることが重要です。
2.高校受験で満足してしまう子がいる
地方の教育事情は都会と異なるところが多々あります。
その一つが『公立高校が伝統校で進学校』という文化です。
私立校の難関学校が数多くある都会の人からみるとすごく不思議かもしれませんが、『地元ではブランド化されている公立高校』が地方には数多くあります。
親も含めてずっと地元で生活している人が周囲に多ければ多いほど『あの学校に入ったからスゴイ』というような話で盛り上がり、親戚一同その学校にしか行っていないから子どもも、と教育熱の高い家庭の中で特別視されるという学校で、都会の人からすると理解し難いような世界があります。
同じ地域で先祖代々暮らしていると『あの学校は特別』という意識が強くなります。
また、そういう環境の中で育っていき、地域で特別扱いされるような学校を受験して合格するとそれが大きなゴールになってしまい、強い達成感を感じて大学進学や大学受験のことをあまり気にしないで高校生活を送る子がいます。
憧れの学校に入ってしまったことで満足をし、学業を怠るというのは中学受験でも起こりえることですが、高校受験でも同様なことがあります。
しかし、高校受験から大学受験までの時間は余裕のないものなので、一度満足して勉強を少し気を抜いてしまうと入学した時の学力が下がっていき、他の子にあっという間に追い抜かれていき『こんなはずじゃなかった』と後悔することになります。
もし、大学受験を考えているのであれば高校受験で満足するのはご法度です。
子どもの進学という観点から見ると、親にとって『子どもの教育すごろく』の上がりはとりあえず大学受験です。
親も『あの高校に入ればそれでOK』というような言動を慎みましょう。
憧れの高校に入ることを最大の目標にしてしまうと、子どももそこで勉強への意欲、緊張の糸がプツリと切れてしまいます。
高校に入ってから苦戦を強いられるのは子どもということを理解してください。
子どもにとって高校受験はあくまで通過点です。
3.高校3年生から慌てる子が少なくない
これは私自身も経験していますが、地方の高校生は大学受験を高校受験と同じようなノリで『イケる』と勘違いしている子が一定数います。
模試は高校1年生から受けていますし、全国でどの位の立ち位置なのかや大学の志望校判定も知ってはいるけれど『3年生から本気出せば』と思っていて、痛い目に遭うという子がいます。
そもそも、大学受験は全国規模です。
そこには現役生だけでなく既卒生、いわゆる浪人生も含まれます。
『高校1年生の頃はE判だけどそこそこ頑張っているから本気出した高3でB判くらいいく』と本気で信じている子、いたりします。
よく考えてみると、地方の子は自治体の中での争いを経て、次が全国を舞台とした合戦場に出ていくので、『高校3年生から本気出せば』では無理です。
全国レベルという言葉がありますが、中高一貫校の子は先取りをして万全な体制で大学受験を迎えます。
高校1年生の頃から判定テストで結果を残しています。
勉強していると気がつくと思いますが、簡単に成績は上がりません。
上位層になればなるほど抜かりなく勉強をしているので、そこに割り込むというのは今の3倍とか5倍くらい学習量を増やすくらい努力しないと辿りつきません。
そして、その努力を高校3年生からスタートしても間に合わないという問題点があります。
大学受験に対する思いはかなり個人差があり、『高校受験と同じでしょう』と考えている子もいれば『中高一貫校の子は中学から高校内容を勉強しているから気を抜かずに勉強しよう』と実際に勉強に励んでいる子もいます。
親としては確実に大学受験がやってくるのですから、決して『高校に合格したから最初は勉強は横に置いといても大丈夫』と思わずに、中学生の頃の受験勉強と同じくらい勉強時間を確保して取り組むよう話をしてください。
まとめ
高校受験は大学受験という大きなヤマ場、ゴールへと向かう最後の分岐点です。
ただ、高校受験で満足してしまうと大学受験に向かう道のりがかなり険しいものになってしまいます。
時間も足りません。
全国の中高一貫校の同級生はすでに高校内容を学んでいるという意識を持ち勉強することが大学入試を突破する際には不可欠です。
そして、親も高校受験の結果に満足してしまわないよう気をつけましょう。