今回は【なぜ小学生時点での学力で高校受験先が予測できるのか】と題し、お話をしていきます。
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【うちは中学受験はしないし、小学生のうちはのびのびと過ごせればいい】
そう思っていたのに、ふと耳に入ってきたのは、クラス内でのテストの点数差や、成績のばらつき。
【あの子、もう塾に通ってるらしい】【中学受験する】といった話題が、地方の小学校でも当たり前に聞かれるようになってきました。
一方で、わが子はというと、宿題はそこそこ、テストも悪くはないけれど、特別得意科目があるわけでもない。
このままで本当に大丈夫なんだろうか。
中学に入ってから本腰を入れて勉強すればいいと思っていたけれど、それって実は手遅れになるのでは? そんな漠然とした不安を感じ始めた方も多いのではないでしょうか。
中学に入ってから巻き返すのは決して不可能ではありませんが、部活動や定期テスト、人間関係などに追われる中で、自分で学びを積み上げていくのはかなり難しいのが現実です。
私も、3人の子どもを育てている中で見聞してきた小学校時代の学力グループと進学した高校の偏差値というのはかなり一致しているというのを感じています。
これは私が塾で出会った子どもたちの成長を見ていて強く感じたことと見事に一致しています。
それは、【小学生のうちの学力や学習習慣が、そのまま高校受験の行き先に直結する】という現実です。
高校生の子ども①は受験して国立中学に進んだので、学区の中学の学力グループがどうなったのかよく分からないまま中学生時代を過ごしていましたが、いざ高校に入ってみると同じ高校になったのは学年で2人だけでした。
しかも、その二人は小学校低学年から【あの子は違う】という立ち位置を築いていた子です。
2番手校に進んだ小学生時代の同級生の顔ぶれも風の噂や直接小学生時代の同級生に聞いてみても【あぁ、そうだよね】というメンツだったようです。
このように、現実は【中学から頑張れば大丈夫】という考えでは厳しいものがあります。
そこで今回は、なぜ小学生の時点での学力が高校進学に影響するのか、中学に入ってからでは間に合わない理由、そして小学生時代に家庭でできる学習の工夫について、3つの視点からわかりやすくお伝えしていきます。
今、何を意識すればよいのか、一緒に考えていきましょう。
小学生時点の学力が高校受験先を左右する
まず、小学生のうちは、【まだまだこれから】【勉強は中学から本格的に】と考えている家庭も多いかもしれません。
確かに、受験という意味では、高校入試はまだ数年先。
しかし、実は小学生のうちにどのくらい学力の土台ができているかで、高校受験時に目指せるレベルは大きく変わってくるのです。
そもそも、小学校の学習内容はすべての教科の基礎であり、土台です。
国語で言えば読解力や語彙力、算数で言えば計算力や図形認識力。
これらは中学以降の応用問題の理解に直結します。
たとえば、数学の文章題を解くには、国語の読解力がなければ問題の意味が取れません。
理科や社会でも、語彙力が不足していると、用語の理解が浅くなり、暗記に頼るだけの学習になってしまいます。
また、学力の差というのは、単に【知っている知識の量】の問題ではなく、【学ぶ力】や【考える習慣】が身についているかどうかによって生まれるのです。
つまり、小学生時代になんとなく勉強している状態が続いてしまうと、中学に入ってから本格的な勉強に切り替えるのが難しくなるのです。
もうひとつ見逃せないのが、高校受験で重視される【内申点(調査書)】の存在です。
このシステムを見直す動きはありますが、移行するにはまだ時間があるので、【どうせなくなるものだし】と思わずに対策を練るのが無難です。
自治体によって対象となる学年は異なりますが、中1からの評価が中学3年生でガラリと好転することはないので、やはり入学した直後から日頃の行いに気を付けることが望ましいです。
つまり、中1の1学期からしっかりとした成績を取り続けないと、受験校の選択肢が大きく狭まってしまうということです。
ところが実際には、中学に入ってから【そろそろ頑張ろう】と思っても、授業スピードについていけず、定期テストでも思うように点が取れない、というケースが多々見られます。
これは、小学生のうちに基礎力が不足していたことが原因です。
中学の勉強は、小学生の頃より一気に抽象度が増し、教科ごとの量もスピードも段違いです。
小学生の間に【自分の力で理解する・覚える・考える】といった学習の型ができていないと、いきなりその波に乗るのは至難の業です。
さらに、教育現場でもよく耳にするのは、【小学生の学力層が、そのまま中学でも再現される】という事実です。
つまり、小学生時代にテストで安定して80〜90点を取れていた子は、中学でも上位層に入りやすく、逆に小学生時代から平均点前後だった子は、中学に入ってもそのラインを維持しがちなのです。
これは、学力の差というより、学習習慣の差が生んでいるといえるでしょう。
もう一つ注目したいのは、【表現力】【記述力】【思考力】など、近年の高校入試でも重視される能力についてです。
これらは一朝一夕で身につくものではありません。
低学年・中学年のころから、日々の読書、文章の書き取り、対話の中で積み上げていく必要があります。
いわば、【地味だけど確実な積み重ね】が、数年後の大きな差となって現れるのです。
親としては、【うちの子、今はそこそこできているし】と安心したくなる気持ちもあります。
しかし、同じ【今はできている】でも、どんな力の上に成り立っているのかは重要です。
暗記中心でなんとか点が取れているのか、根本の理解に基づいて解けているのか。
その違いが、中学以降の伸びに直結します。
【高校受験はまだ先】と思わずに、今の小学生時代こそ本当のスタート地点だという意識で、子どもの学びに向き合うことが大切です。
中学に入ってからの好スタートを切るためには、小学生の今からじわじわと積み上げていくしかないのです。
『中学に入ってから頑張ればいい』は通用しない現実
さて、【うちの子は中学に入ってから頑張れば大丈夫】【まだ小学生だから、今は無理に勉強させなくても】、という言葉は多くの家庭で聞かれます。
しかし現実は、そんなに甘くありません。
中学校という環境は、学習面でも生活面でも一気に難易度が上がるため、小学生のうちにしっかりとした下地ができていない子は、スタートラインでつまずいてしまうことが多いのです。
まず、中学に入ると時間の使い方が大きく変わります。
部活動が始まり、練習や大会で放課後や休日の予定が埋まるのは当たり前です。
加えて、定期テストの準備、学校行事の係活動、友人関係の悩みやスマートフォンの使用など、学習以外の時間とエネルギーを消費する要素が一気に増えます。
小学生のように【学校から帰ったら時間があって、のんびり宿題をして、親と会話して】という生活リズムを送ることはほぼ不可能になります。
ですから、家庭学習の時間は1日30分でも確保できれば良いほうです。
ここで大切になるのが、限られた時間で成果を出せる学習習慣がすでにあるかどうかです。
さらに問題なのが、中学の授業スピードと難易度です。
とくに英語と数学は、積み上げ型の教科です。
小学生のうちに英語に触れた経験があまりない子、家庭学習で対策をしていなかった子に、いきなり英単語の暗記や英文法を学び始めても、負担が大きすぎて消化不良になりがちです。
数学も、小学校の【なんとなく理解】や【暗算で乗り切っていた】部分が通用しなくなり、すぐにつまずく子が多く見られます。
しかも、中学の学習には【定期テスト】と【内申点(成績評価)】がセットでついてきます。
中学ではテストの点数が直接評価に反映され、それが高校受験の調査書として内申点に変わるのです。
つまり、中学1年生の最初のテストから高校受験の戦いは始まっているといっても過言ではありません。
ここでつまずいてしまうと、【どうせ自分はできない】【勉強ってつまらない】という意識が根づいてしまい、取り返すには何倍もの努力が必要になります。
逆に、小学生のうちに基礎を固めておけば、中学に入ってからはその上に応用を積み重ねていく感覚で勉強ができるため、限られた時間で効率よく学習を進めていけます。
また、【小学生の頃はそこそこできていたのに、中学に入ったら成績が落ちた】という話は珍しくありません。
私も、こういう状況となった生徒に出会ったことがあります。
これは多くの場合、【表面的な理解】で学習を終えてしまっていたことが原因です。
算数や国語では、小学生のうちはパターンを覚えるだけで何とか点が取れてしまいます。
しかし、本当の理解に基づいた学びができていなければ、中学の内容に歯が立たなくなります。
そして最も大きな問題は、【一度学力が下がると、自信とやる気を失いやすい】ということです。
これが一番厄介です。
中1の1学期で思うように点が取れず、順位が下がってしまうと、【勉強は苦手】というレッテルを自分に貼ってしまい、その後の学習に対する意欲を持ち続けるのが難しくなります。
親として、【中学に入ってから頑張らせれば…】と期待したくなる気持ちはわかります。
しかし現実的には、時間的・精神的なゆとりがある小学生の今こそが、学習の土台作りに最適な時期なのです。
中学に入ってから巻き返しを狙うのではなく、小学生のうちから先手を打つことが、将来の選択肢を広げる最善策です。
小学生のうちから『高校受験の準備』を始めよう
ところで、【高校受験は中学3年生で行われるもの】というのは事実ですが、実質的には中学1年のスタートから勝負は始まっているという現実を、多くの親、または子どもが意識できていません。
高校入試で重視される【内申点】は、地域によっては中学1年の成績から加算されます。
つまり、中1の1学期から成績を安定させておく必要があるのです。
では、そのために何が必要か? それは、小学生のうちに【学力の土台】と【学習習慣】を整えておくことです。
中学に入ってから一からスタートしようとしても、部活動や学校行事、定期テストの準備などに追われ、じっくりと基礎を固める時間は残されていません。
だからこそ、今この小学生の時期にゆとりを持って備えることが、未来の安心と自信につながります。
なかなか、小学生の段階で【この高校に行きたい】と明確な目標を持っている子はいませんが、親が地域の高校のレベル感や進学実績をある程度把握しておき、子どもの特性や可能性に照らし合わせて【このあたりのレベルを目指したい】とイメージしておくことはとても重要です。
そのうえで、子どもに【今の勉強は、数年後の自分の進路につながっている】という感覚を少しずつ伝えていくと、学習への意識が変わってきます。
ただ点数を取ることが目的ではなく、【なぜ勉強するのか】が腑に落ちることで、自主的に取り組む姿勢も生まれやすくなります。
まず、高校受験を見据えて、小学生時代に重点的に取り組みたいことは、大きく3つあります。
1.量より継続を重視する家庭学習の習慣化
まず第一に、【家庭で毎日勉強する】という習慣を定着させることが最も大切です。
これは、時間の長さではなく継続することがカギです。
たとえ1日15分でも、毎日机に向かい、プリントや問題集に取り組む。わからない問題があれば親に聞いたり、自分で調べたりする癖をつける。
そうした地道な習慣が、中学以降の自学自習の基盤になります。
2.基礎教科の理解の徹底
中学で全教科をしっかり学ぶためには、小学生のうちに【読む力】【考える力】【数的処理能力】を育てておくことが不可欠です。
国語であれば、説明文・物語文を丁寧に読み、登場人物の心情や筆者の主張をつかむ力。
算数であれば、四則計算だけでなく、割合・速さ・図形など、文章題を読み解く力。英語では、音やリズムに親しみ、簡単な単語やフレーズに慣れておくこと。
これらの理解力の素地があるかどうかで、中学に入ってからの伸び方が大きく異なります。
3.自学力=自分で読み、考え、調べて学ぶ力
最終的に、高校受験で求められるのは【自分の頭で考え、課題を解決する力】です。
そのためには、わからないことを放置せず、自分で調べて理解しようとする姿勢が欠かせません。
たとえば、教科書の読み直しや、参考書・辞書での調べ学習。
親に答えを教えてもらう前にまず自分で試してみることです。
そのプロセスを繰り返すことで、【自分で勉強を進める力】がついていきます。
これは、中学・高校と進むほど差を生む決定的な武器になります。
このように、小学生時代に取り組むべきことは難易度の高いものではありません。
そして、忘れてはいけないのは小学生の段階で成績が安定している子どもたちは、決して特別な才能があるわけではないということです。
家庭学習の習慣がきちんと機能しているかどうかが、学力の差を生んでいる最大の要因です。
毎日、同じ時間に机に向かい、【わからない】を放置せず、できたことに対して家庭で声をかける環境を整える。
こうした当たり前の積み重ねが、中学に入ってからも自然と学習を継続できる力を育てています。
学力の差は、【才能】や【センス】ではなく、【準備期間の差】で生まれます。
中学に入ってから焦るより、小学生の今から少しずつ始めておくことで、子どもの学力はぐんと安定し、何より勉強に対する自信と余裕が持てるようになります。
高校受験はまだ先に思えるかもしれませんが、目標を持ち、そこから逆算して日々の学習を進めることで、親子ともに進路選択で後悔しない未来が見えてきます。
今から始める小さな一歩が、数年後の大きな差を生むのです。
中学・高校受験の準備は、中学3年生になってから始めるものではありません。
実際には、小学生の今この瞬間から静かにスタートしているのです。
学力の差は、単なる勉強量ではなく、【学習習慣】と【親の関わり方】によって生まれます。
中学に入ってから巻き返すのは決して簡単ではありません。
だからこそ、小学生のうちから将来を見据えた勉強を始めることが、もっとも確実で、安心できる道なのです。
【どの高校を目指したいか】を意識しながら、今何をすべきかを親子で考えること。
それが、数年後の進路選択の幅を広げ、子どもの可能性を最大限に引き出します。
今からなら、まだ間に合います。
焦る必要はありませんが、立ち止まらず、一歩ずつ進んでいくことが大切です。