世に、10歳の壁として名高い小学4年生。
それをタイトルにしている本も多数出版されているくらいです。
ただし、科学的根拠を提示しないまま経験値で訴える内容が多いですよね。
まっ、私自身もそうですが、教育の現場にいた人間なら感じる共通事項なのは確かです。
【学力の経済学】や【幼児教育の経済学】などのベストセラーが出て、学力に関する問題を科学的に考察する手法が浸透しつつある日本。
ある意味、【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたちもそんな風に分類できるでしょうか。
さて、親なら気になるデーターが発表されたのを、ご存知でしょうか?
エール出版社より本が出版されました。
小学3年生から4年生で気をつけるべきことを詳しく取り上げています。
kindle出版しました。unlimitedでも読めます。
完全に無料で読めるコミックエッセイです。
↓こちらはアマゾンの縦読みfliptoonです。
キンドルとは違う読み心地かなと思いますので、読み比べもしてみてください。
内容は一緒です!
透明教育ママの絵日記 教育系コミックエッセイだけど役に立つ可能性ゼロ【ブログ放置編】
新作です。
kindleのジャンル別ベストセラー獲得しました!
ありがとうございます。
2万5千人のビッグデーター
あまり話題になっていないのですが、2017年11月に家庭の経済格差と子どもの能力格差の関係分析(速報版)が、日本財団から発表されました。
データーは大阪府箕面市の就学児童約2万5千人。学力と経済の関係性を考察しています。
詳しい分析は、PDFファイルで読むことが出来ます。ぜひ、一読してください。
ニュースなどでは、表面的な情報(生活水準低い家庭の子=学力低い)が取り上げられがちですが、調査では非認知能力の重要性にも触れています。
大規模データーから分かること
アメリカでは、子供の学力などの追跡調査をするのは当たり前。
日本では抵抗感を持たれがちですが、薄れてきたのでしょうか。これは、箕面市の【子供成長見守りシステム】を活用しています。
その数、2万5千人!
今まででは考えられないですね。義務教育年代で学力が出てします調査は長らく拒否反応されてきたことですし。
さて、日本では珍しい経済水準などの観点からみた学力調査では、恐ろしいくらい10歳が境目になっていることが判明しました。
上記は2017年のもの。
リセマムで日本財団の調査結果に関する記事に載っていたグラフです。
10歳から困窮していない家庭の子全員が、通塾を開始するとは思えません。
けれど、ここまで差がハッキリでるのは、ちょっと想像もしていませんでした。
小学2年=8歳で両者が一瞬近づくのは、私の勝手な考えですが九九の影響があるのかも、と思います。
九九は暗記できるまで学校でも丁寧にみますし、おそらくどの親も九九の大切さを理解しているので、暗記の有無は気にするかと、
その結果、瞬間的に接触するのではないでしょうか。
10歳になると、理科や社会もグッと踏み込んだ内容になるので、余計差が広がるのでしょう。理科社会は知的好奇心の影響を受けやすい科目ですから。
10歳以降、2度と両者が近づくことはありません・・・。
逆転の難しさも浮き彫りに
もう一つのグラフは、タイトル通り、偏差値45以下の子供が、翌年に偏差値45以上になる割合を示しています。
こちらでも、8歳では4割が前年度超えしたものの、9歳以降はすべり台状態で落下。
そこから少しずつ13歳まで回復傾向かと思いきや、14歳(中学2年)で急降下。
中学2年生は、中学学習においては最重要学年です。
この学年の成績と理解が大きく進路先を決めるくらい、入試でもこの学年の単元が多く出題されます。
その一方で、中2病と言われるくらい思春期真っ只中で勉強に意識が向く・向かないの分かれ目です。10歳の壁みたいな扱いですね。
このグラフから分かることは、学力の固定化は就学時から見えないように出来上がっており、偏差値の向上はできるが、そう簡単ではないのが浮き彫りになっています。
非認知能力
今回の調査の目玉は、非認知能力の調査も絡めている点です。
日本では、後手後手になっている印象がありますよね。
目に見えやすい知育系にどうしても走りがちですが、最近の研究では社会性や忍耐力、自尊心などなど表からでは見えない能力です。
おそらく、アメリカのIT長者は自分たちの子供にモンテッソーリ教育を施しているのは、こういった背景もあるからなのでは、と勘ぐっています・笑。
幼児教育の経済学で広く知られるようになった、非認知能力の重要性は日本財団の調査でも訴えています。
速報版のPDFファイル(21ページ)を見ると、マシュマロテストのような忍耐力を見るのではなく、生活スタイルや精神面からのアプローチをしていますね。
ちなみに、完全版のPDFファイルは115ページに及びますが、詳細に分析されていて大変参考になります。
さて、学校のアンケートでよくある、朝ご飯を食べているか・先生に悩み事を相談できるか・スポーツや勉強、趣味など頑張っていることがあるか・ルールを守れているか、などの質問をして、グラフ化したものが載っています。
出典 日本財団
家庭の経済力での相違をここまで表している研究は、日本ではお目にかかったことない内容となっています。
生活保護受給世帯の朝ご飯を食べている子が、小学1、2年生から8割切っているグラフは、ちょっと衝撃的ですね。
低所得でも学力が高い子
この調査の真骨頂は、低所得でも学力が高い子のデーターが出ている点です。
これ、一定数いるはずなのに、メディアは格差・格差を強調したいので、苦学生にクローズアップしませんね。
残念なことです。
出典 日本財団
上記の画像は、速報版からになります。
貧乏だけど学力高い子は、生活習慣がちゃんとしていて、コミュニケーション能力が高く、と非認知能力が高いことが判明しています。
就学前から同じ環境下であっても、両者には違いがある(規則正しい生活など)のでは、と推測していますね。
こちらも、10歳以降から両者が離れていくことが一目で分かります。
全文版のPDFファイルのP46ーP47(ファイルに記されているページです)に載っている【コラム】は大変興味深く、超要約しますと以下のことが書かれています。
”親の投資(習い事、家庭内での本の蔵書や新聞の有無、美術館や映画館に行く回数)が、子供の非認知能力に影響を最も与えるのは8歳~9歳の間であることが判明”
ということは、2,3歳頃にアンパンマンの映画デビューをしていくのがベスト、ということでしょうか・笑。
貧乏だったけど休日ごとに図書館通いする&入館料が激安の博物館で涼む、をしていた自分は、低所得でも学力が高い子になれる下地を、小学生時代作っていたこと確定、ですね。
自分、小学生時代にもう少し頑張っていれば中学進学後に飛躍していたのではないか、という反省を強いられそうなデーターです・・・。
逆説的に考えれば、いくら経済面で恵まれていても、生活習慣が乱れ、本に触れず新聞も読まず、美術館や博物館に行ったことがお金持ちの子は、学力向上は望めない、ということでしょう。
本はコチラにまとめてあります。
家庭での読書習慣は子供の興味の範囲を広げ、語彙力を増やします。
⇒ 読書は大切! 10歳の壁を越えるコツ【就学前~低学年向けのオススメ本】
まとめ
巷にあふれる、10歳系本。
私も本を出しています。
それまでは経験値で語られることが多かったのですが、大阪府箕面市のビッグデーターから10歳が境目になっていることが科学的に立証された形。
非認知能力は幼少期から育てていくと、その後の学力向上につながることは低所得家庭で学力高い子が証明しているので、今後のデーター活用を期待したいですね。
ただ、幼年期だと親の考えで大きく左右されるので、それこそ妊娠期のパパママ学級などで、規則正しい生活習慣は子供の学力に影響を与える、等を伝えていないと改善されないと思います。
非認知能力は生活習慣以外にも、文化的経験(美術館・博物館・コンサート)やアウトドア体験など五感を刺激することによって伸ばすことができるので、長期休みに経験させやすいですよね。
我が家も、夏休みの計画を考える際に考慮します。
もちろん、安価系で攻めますけどね・・・。