今回は【先取り学習して賢かった小学生が伸びなくなる原因】と題し、お話をしていきます。
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ありがとうございます。
教育産業で仕事をしていると、かなりの高確率で【低学年の頃はすごくできたけれどピタリと伸びなくなった】という子に遭遇します。
自分自身の子ども時代、または子育てをしていると、同級生でそういうタイプの子がいたという経験がある方もいると思います。
そういう子を持つ、つまりは当事者である親は周囲の不思議そうな目を感じることもあるでしょう。
そして、小学生の頃に先取り学習でどんどん進み、【賢い子】と言われていた子が、中学以降で伸び悩むと、親は大きな戸惑いを感じます。
小学校では基礎的な内容が多く、記憶力や先読みで成果が出しやすいため、先取りがうまくいくことが多いです。
幼児期に九九を全て暗記したり、小学校1年生、2年生の漢字の読み書きもできる子もいます。
低学年の頃に周囲を圧倒する学力を見せつけていたのに、小学校4年生頃には【それなりに勉強できる子】の一人になる子もいます。
学年が上がると、思考力や応用力が問われる内容が増え、単なる暗記では通用しなくなります。
この段階で、いくら周囲を圧倒してきても、理解の土台が浅かったり、継続した勉強の習慣が身についていなかった場合、成績が急に落ち始めることがあります。
親は【なぜできなくなったのか】と焦り、塾を変えたり教材を増やしたりしますが、根本的な課題は学習の姿勢や自立性にあることが多いです。
中学生になると子どもによっては【ミドル層のやや上】の学力グループに属する子も少なからずいます。
そうなると、子どもは【小さい頃はすごく勉強ができたのに】とノスタルジックな思い出に浸り、今やるべきこと、現実と向き合えなくなることもあります。
低学年での成功体験が重しとなり、子ども自身が伸び悩みに苦しむことも。
親としては、結果だけでなくプロセスを見守り、軌道修正を一緒にしていく姿勢が必要です。
そして、伸び悩む原因は一つとは限りません。
そこで今回は、先取り学習して賢かった小学生が伸びなくなる原因をご紹介していきます。
新しく挑戦する機会が減少する
まず、先取り学習をして幼児期や小学校低学年の頃に【賢い子】と周囲から言われていた子どもが、その後伸び悩む原因の一つに、【新しく挑戦する機会の減少】があります。
これは一見、学力が高いほど学習が進み、可能性が広がるように思われがちですが、実際には逆の方に動いてしまうことがあります。
先取り学習をしている子どもは、周囲よりも早く内容を理解し、【こういう問題はこういう答えが出る】と経験をし、満点も取りやすく小学校低学年から学業面での成功体験が積み重なりやすく、自信を持つことができます。
しかし同時に、小さい頃から【できる自分】や【褒められる自分】へのこだわりも強まりやすくなります。
その結果、できなかったり失敗したりすることを避けるようになり、新しいことに挑戦する姿勢が弱まっていきます。
基本問題ばかりを求め、応用問題を解きたがらないという問題点も徐々に出てきます。
さらに、先取り学習で一通りの内容を終えてしまうと、本人にとって【新鮮でワクワクする学習】が減ってしまい、学びが惰性的、平たく言うと【なぁなぁ】でも学校のテストで良い点数を取れてしまうようになります。
学校や塾の授業が【もう知っている】【簡単すぎる】と感じる時間になってしまえば、自然と興味も集中力も低下します。
結果として、学習そのものへの意欲や関心が薄れてしまい、自ら新しい知識に向かっていく姿勢が育ちにくくなります。
先取りによって早い時期に成果を出してしまうと、【良い点数をとれるかどうか】に学びの価値を置くようになりがちです。
未知の問題に対して考えることや探究の楽しさよりも、素早く正解を出すことが重要だと思い込むと、今まで出会ったことのないような応用問題を敬遠するようになります。
これは小学校の中学年以降で必要となる【深く考える力】や【粘り強さ】といった力が育ちにくくなる要因にもなります。
そして、親が【うちの子はできる子】という先入観を持ち続けることも、挑戦機会の減少に拍車をかけます。
失敗を許さない雰囲気や、常に高い結果を期待される環境では、子ども自身が安心して新しいことに飛び込めなくなってしまいます。
つまり、先取り学習の【先を知っている】ことが、かえって【新しいことに出会う機会】や【失敗から学ぶ機会】を奪い、それが伸び悩みの根本的な原因となるのです。
学び続ける力を育てるには、先取りだけでなく、【知らないことに挑む勇気】や【間違いを受け入れる余裕】も同時に育てていく必要があります。
出来ない自分を認められない
さて、先取り学習をして小学生のうちから【賢い子】【よくできる子】と言われていた子どもが、その後に伸び悩む原因の一つに、【できない自分を認められない】という心理的な問題点ということがあります。
塾で仕事をしている時にそれなりに勉強はできるけれど、【できない自分を認められない】というタイプの子に遭遇したことがあります。
それも、教室に一人二人ではなく、【学年に一人二人いる】という感じでしたので、割と身近にもそういうタイプの子がいると思います。
これは早い段階での学校の勉強での【よくできる子】という経験がもたらす、自己評価の偏りや過度な自意識が関係していることがあります。
先取り学習によって周囲より早く学習内容を理解し、テストの点も良く、先生や親や友達の親から【すごいね】【天才だね】と褒められ続けて育った子は、【自分はできる子】というアイデンティティを強く持つようになります。
この自己認識は、本人の自信につながる一方で、できない状態を【自分らしくない、認めたくないもの】として避けるようになります。
つまり、できる子であることが自己価値の根拠となってしまい、【できない】という状態を受け入れることが、自己否定につながるように感じてしまうのです。
小学校4年生、5年生以降になると学習内容は格段に複雑になり、思考力や理解力、継続的な努力が必要になります。
難易度の高い問題に直面したり、周囲の同級生も力をつけてきたりすると、当然つまずく場面も出てきます。
しかし、先取りで成功体験を重ねてきた子ほど、その【できない経験】に強い抵抗感を抱き、【スラスラ解けない自分はダメだ】と悪い方に捉え、落ち込んでしまうことがあります。
さらに、そんな【できない自分】を見せることを恥だと思い、質問することや人に助けを求めることをためらう傾向も出てきます。
その結果、つまずいたときに自力で解決できず、苦手が蓄積し、ますます勉強から距離を置くようになってしまいます。
プライドが邪魔をして新しい挑戦を避けるようになり、基本問題など【自分が得意な範囲】だけで満足するような学習姿勢に陥ることもあります。
これは親の関わり方にも原因があります。
子どもを過度に【できる子】として扱いすぎると、失敗や間違いに対して寛容になれず、子ども自身も「失敗=評価の低下」と感じてしまいます。
そうなると、安心して【できない自分】を見せられず、挑戦や成長の機会を自ら閉ざしてしまいます。
【できない自分を認められる力】は、成長において極めて大切な資質です。
失敗を通じて学び、改善し、乗り越える経験が、子どもの本当の学力と自信を育てます。
先取り学習の成果を持続的な学力の成長につなげるためには、結果だけでなく過程や努力を認め、できなかったときこそ寄り添って支える環境が欠かせません。
考える力が育ってない
ところで、先取り学習の効果もあり、ずっと【賢い子】と評価されていた子どもが、その後伸び悩む原因のひとつに、【考える力が育っていない】ことが挙げられます。
これは、一見勉強ができているように見えても、深く理解したり、自分の頭で試行錯誤する経験が少ないまま進んでしまったことに原因があります。
先取り学習の多くは、【知識を早く入れること】に重点が置かれがちです。
確かに、小学校内容の計算や漢字、英語の単語などは、先に覚えておけばテストでよい点が取りやすく、【すごいね】と周囲に認められやすくなります。
しかし、その学びのプロセスが【わかるまで粘って考える】ではなく、【やり方を教えてもらって覚える】になっている場合、表面的な理解のまま進んでしまうことになります。
このような学び方を続けていると、正解を素早く出すことが学習の目的となり、少しでも複雑で時間がかかる問題に出会ったとき、【わからない=できない】とすぐにあきらめてしまう傾向が出てきます。
つまり、自分で考え続ける力や、未知の問題に向き合う粘り強さが育ちにくくなるのです。
中学や高校の学習では、単なる暗記や計算だけでなく、複数の知識を組み合わせて考える力、論理的に説明する力、問題の本質を見抜く力などが求められます。
これらの力は、時間をかけてゆっくりと育つものであり、【教えてもらってすぐにできる】ものではありません。
しかし、先取りでスピード重視の学習をしてきた子どもは、この【考えるプロセス】を経験する機会が少ないため、学年が上がるにつれて内容が難しくなったとき、対応できずに伸び悩むのです。
また、考える力を育てるには、試行錯誤や失敗の経験が欠かせません。
ところが、先取りで【できる子】として扱われてきた子どもは、間違うことや失敗することを避ける傾向が強く、難しい問題に挑むこと自体を避けてしまうこともあります。
これにより、さらに考える力を鍛える機会が減ってしまいます。
本来、学びの土台は【なぜそうなるのか】【どうやったら解けるのか】といった思考の積み重ねにあります。
先取り学習は一時的なリードにはなっても、それだけでは深い思考力は育ちません。
大切なのは、すぐに答えが出ない問題に出会ったときに、【わからないことを考えることが楽しい】と感じられるような学びの経験です。
そのためには、スピードよりも考える時間を大切にし、正解よりも【どう考えたか】を評価するよう、子どもの家庭学習を見守る親も意識してください。