今回は【塾に通っても成績が伸びない根本的な理由】と題し、お話をしていきます。
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親世代の頃は、地方では塾に通うというのはかなり敷居が高いという空気が漂っていたと思います。
小学生で塾に通う子はかなりの少数派ですし、通っているのは公文やそろばん教室という【学校の勉強プラスアルファ】という感覚でした。
中学生になると塾通いをする子も増えましたが、それも【進学校を目指している子】に限定される世界で、やはり敷居は高いものでした。
しかし、21世紀に入ると個別指導塾の台頭もあり、練習などが忙しい中学生が部活と勉強の両立を目指す際に、【我が子も塾通いできる】という環境が整ったことも影響して、塾に通うということの敷居がかなり低くなりました。
ただ、塾で教える側の人間だった私としては、子どもが塾に通えば必ず成績が上がるわけではないのを実感してきました。
もちろん、塾に通わなくてもすごい成績を残す子もいますが、やはりそういう子は特別な子であり少数派です。
全員が真似しようとしても無理があります。
そして、今の日本の教育、とくに受験に関しては【塾に通って受験を突破する】という選択肢を選ぶ家庭がかなり多いので、様々な学力層の子どもたちが塾に通っています。
入会してきた生徒を志望校に合格させるというのが塾の使命の大きな一つでもあるわけですが、親子の思惑通りにいかないことも多々あります。
むしろ大成功!、大逆転した!、というケースの方が少ないかもしれません。
ただ、塾的には成功例を大々的にアピールした方が宣伝になりますし、失敗例というものを積極的に発信することはありません。
そこで今回は、塾に通っても成績が伸びない根本的な理由を考えていきます。
子どもが自分事だと思っていない
まず、塾に通っても成績が伸びない根本的な理由の一つに【子どもが塾に通うのは自分事だと思っていない】というものがあります。
学習の主体性が欠如していると、せっかく塾に通っても効果を感じにくくなります。
こういうタイプの子は年齢問わずけっこういます。
受験学年の中学3年生の子より、小学4年生の方がしっかり塾に通うことの意味を理解している、ということもありました。
子どもも親も塾に行くこと自体が学力向上の保証であると錯覚しがちですが、成績向上には【自分で考え、自分で学ぶ力】という視点が欠かせません
塾はあくまでも補助的な存在であり、学習の主役は常に子ども自身です。
先生の説明をただ受け身で聞くだけでは知識の定着も理解を深めることも望めませんし、結果として成績につながりません。
学力の向上には、子どもが【なぜ勉強するのか】【何のために塾に行っているのか】を自分の中で明確にし、それをモチベーションとして学習に取り組むことが不可欠です。
ところが、塾に通うことを他人事のように感じている子どもは、【とりあえず行けばいい】【言われたからやっている】といった受け身の姿勢になりがちです。
そのような態度では、授業中も真剣に話を聞かず、宿題も形だけになり、学習内容が頭に入らなくなってしまいます。
また、自分事としてとらえていないと、自ら課題を見つけたり、苦手を克服しようとする努力も生まれません。
【なぜ勉強するのか】【何のために成績を上げたいのか】といった問いに自分なりの答えを持つことが、学習の質を根本から変えるカギになります。
本来、塾は自分の弱点を補い、理解を深める場でありますが、子どもにとってそれが「親に行かされている場所」にすぎない場合、学習の質もモチベーションも低くなります。
結果的に、塾で過ごす時間がただの時間消費になり、成績の変化が見られないという状況に陥るのです。
さらに、【やらされている学習】は長続きしません。
これは先生たちも感じていますし、【いつになったら気がつくかな】と思っています。
どんなに優れた先生や教材があっても、それを活用しようとする意志がなければ効果は限定的です。
つまり、塾に通うことを自分事としてとらえられない限り、子どもは本当の意味での学力向上のレールに乗ることはできません。
確実に成績を伸ばすためには、まずは子どもが自分の目標と向き合い、【なぜ塾に行くのか】を理解した上で勉強と向き合えるようになることが出発点になります。
親が塾任せで成績を上げられると思っている
さて、親が塾任せで家庭でのフォローを全くせず、塾に通っている効果が出ない、成績が伸びないというパターンもあります。
塾に任せきりの親は、家庭での学習環境づくりや声かけが不十分になりがちです。
成績向上には、塾の授業だけでなく、日々の復習や予習、計画的な学習が不可欠です。
しかし、子どもが家に帰っても勉強せず、家庭学習が軽視されてしまえば、知識の定着や応用力の育成は期待できません。
とくに思春期の子どもは、親が自分の勉強に無関心だとその姿勢を敏感に感じ取り、自分の学習にも熱意を持てなくなることがあります。
これは私も塾で教えていて、子どもは親の言動を敏感に感じ取っているというのに気がつきましたし、親の関心の有無が成績に影響しているというのも感じました。
さらに、塾任せの親は成績が伸びないと【塾が悪い】と原因を外部に求めがちです。
私も、こういうタイプの親と出会ったことがありますし、【成績を上げるのはそちらさんの仕事だろう】【上げられない責任を感じろ】と恫喝まがいのことを言ってくる親もいました。
塾は生徒の学力を上げることを目的にした教育サービスではありますが、塾オンリーではなく家庭でのサポートがなければ目標を達成できないという現実的な問題もあります。
週1回、2回、塾に来て授業を受けるだけで学力が伸びることはありません。
塾で学び、宿題をしっかりし、それ以外にも自分の課題である教科や単元を自主的に勉強するということをしなければ成績が上がることはないでしょう。
塾に通って成績が上がる子は【塾に来たことで分からないことが解消できた】【ライバルと切磋琢磨できる環境に刺激を受けて自分から勉強する子になった】と自分から変化することを恐れない子が圧倒的に多いです。
親は子どもの主体性や家庭での学習環境に目を向ける必要があります。
塾は【魔法】ではなく、本人の努力と結びついて初めて効果を発揮する場所です。
親が【塾に通わせれば安心】と考えるのではなく、子どもと一緒に学習の目標を確認し、日々の努力を見守る姿勢こそが、本当の意味で成績を伸ばすために必要なのです。
子どもに合っていない塾に入る
ところで、塾に通っていても成績が伸びない理由の一つに、塾のスタイルや内容が子どもに合っていないという根本的な問題があります。
今の塾というのはかなり選択肢があるので子どもに合う塾を選びやすい環境が整っています。
それにも関わらず、合わない塾を選ぶこともあります。
学力向上のためには、子ども自身が授業を理解し、自分のペースで学び、意欲をもって取り組める環境が必要です。
しかし、塾の指導方法や学習環境がその子に合っていないと勉強面でマイナスになることもあります。
例えば、集団指導の塾では、一定のペースでカリキュラムが進んでいきます。
理解が早い子にとっては物足りず、遅れている子にとっては内容についていけないという問題が生じがちです。
授業のスピードや内容が合っていないと集中力が続かず、授業中に得られる学びも限られてしまいます。
その結果、塾に【行っているだけ】になり、成績は思うように伸びません。
逆に、個別指導塾に通っていても、先生との相性や指導の質が子どもに合っていない場合には効果が出にくいことがあります。
先生が一方的に説明するだけだったり、質問しにくい雰囲気や信頼関係のない指導では、子どもが本音を言えず、わからないままにしてしまうため理解が深まらず、学力は伸びません。
塾が子どもに合っていないと、勉強そのものへの意欲や自信を失ってしまうことにもつながります。
勉強をして成績を伸ばす際には【自分に合った方法】を見つけて取り組むことが非常に重要であり、それができない環境では、どれだけ通っても実力にはつながりません。
成績を伸ばすためには、子どもの学力、塾の種類や指導法などをしっかり見極め、子どもにとって最も学びやすい環境を整えることが不可欠です。
塾は【子どもに合っている】ことが大前提であり、それが欠けていれば、どんなに時間やお金をかけても成果は出にくいです。
塾はあくまで勉強の相棒という立ち位置です。
本当に成績を上げたいなら、塾に頼りきるのではなく、弱点を把握して日々の学習を工夫しながら継続する力が必要です。
塾はそのサポートをする場であり、学力向上の主役は常に子ども自身ということを忘れないでください。