今回は【地方の中学受験のメリットを考える】と題し、お話していきます。
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2月も中旬になると中学受験シーズンも終盤戦となり、次の受験生が来年に向けて動き始めたばかりだと思います。
中学受験は1月から2月中旬までがピークで、しかも近畿圏、首都圏は1月、首都圏でも東京都、神奈川は2月からと大学受験や高校受験に比べると入試期間が短く、あっという間に過ぎ去っていきます。
都会では年明けに行われる中学受験ですが、地方では中学受験そのものが非主流派なので受験生やその親以外は大きな話題になりにくく、地味な受験です。
卒業式に他の中学に行く話をしたら【そうなんだ】で終わることも珍しくありません。
圧倒的に地元の公立中学に進む子の方が多いので、お母さんたちの会話の中心が【地元の中学の部活はどうか】【評定のつけ方が厳しい先生はいるか】【評判の良い先生はなんの教科の先生か】となりがちで、中学進学組はその輪に入れない、ということが多々あります。
こういうことをあまり気にしない方なら問題はありますが、小学校卒業後も定期的に顔を合せる間柄のママさんがいると、話のネタが小学校時代のように共通のものが少なくなることもあるでしょう。
また、中学受験する子はいるけれど、やはり少数派でもある中学受験組は大都会のように受験校が複数あるわけでもありません。
例えば、公立の中高一貫校を受験して不合格となった場合は地元の中学に進んで高校受験でトップ高校を目指すという子が多いです。
子ども①の周囲で、公立中高一貫校が残念な結果となった子はトップ高校への進学を果たしていました。
トップ高校はちょっと厳しくても、公立の2番手校までには入るという、大都市圏の中学受験とはかなり性格が違います。
地方特有の教育事情もありながらも、敢えて地方で中学受験をするメリットはあるのかを考えていきます。
１．小学生から全国を意識することができる
地方で中学受験をする場合も大半の子は塾通いをします。
ただ、塾と言っても都会のように中学受験に特化した塾が存在していません。
全国展開している塾本体がある、ということもないですし、地方で塾に通うと言ったら高校受験に向けて、つまり中学生がボリュームゾーンです。
ですから、地方の塾では高校受験向けの中学生クラスが主体だけれど主に公立中高一貫校を目指している子が通うクラスも開校している、というパターンが多いです。
四谷大塚と提携していて、首都圏の中学受験レベルの授業を受けられるという塾も存在しています。
地方だから中学受験の勉強も簡単、というわけではありません。
都会ほどキツキツのスケジュールで受験学年を過ごすという子は多くはありませんが、それでも遊ぶ時間を減らして勉強をして受験に向けて準備をしていきます。
受験勉強している過程で、様々な模試を受けますが、公立中高一貫校を目指すのであれば【適性検査】の模擬試験、対策テストを受けて弱点、苦手分野、立ち位置を把握します。
その流れで、全国の中ではこの位というのも分かるので、たとえ通っている小学校で学力上位層であっても【上には上がいる】ということに気がつきます。
また、我が家の子ども①②のように国立中学を受ける子どもでも塾の模試を受けて偏差値がトンデモナイことになっていたり、受けた子の中でどのくらいの順位なのかや、同じ塾に通っている附属小の神童さん達を見て【あれが全国レベルか】と思い知ったりと、受験すると決めたことで【井の中の蛙大海を知らず】から脱却することができます。
地方の子が小学生の頃から全国を意識することはないです。
多くの子が地元の中学に進学し、地元の高校を受験する流れの中で【全国の同級生】を気にする機会はありません。
全国を気にするようになるのは、地方では大学受験を目指す高校生になってからベネッセ模試や河合の全統模試など、全国規模の模試を受けるようになってからです。
正直、高校入学後に全国を知るというのは大学受験に置いてかなりのハンデになるので、中学受験を通じて全国を知ることは子どもにとってもプラスになります。
２．高校数学で有利になる受験算数を学べる
受験算数は高校受験や大学受験の数学とは無関係で、中学受験しなければ苦労して勉強する必要はないという考えを持つ方もいるかもしれませんが、個人的には受験算数は高校数学を勉強する時にプラスになり、思考力を鍛えるので無意味なものではないと考えています。
私が高校に入った時、高校数学をものともしない同級生の多くが中学受験に特化した塾に通っていた子だということに気がつきました。
その頃、地方で中学受験と言えば国立大学附属中くらいでした。
数学が得意な子の顔ぶれを見てみると、国立中学を受けたと言っている子（筆記はパスしたけれどくじ等で落ちた子も含む）と国立大学附属小の子達が多いことに気がついたのです。
同じ中学受験に特化した塾に通っていたということまでは把握できたのですが、当時の私はそれが高校数学の出来不出来にどのように関係しているのか見当もつきませんでしたが、ぼんやりと【小学生の時に学校で習わないような算数の問題を解いているとプラスになるのかな】と感じてはいました。
時は流れ、塾で仕事をしている時に他の生徒達よりも明らかに高校数学に適応している子達はほぼ全員国立中学受験組で、その時に【これは受験算数が関係している】と確信したのです。
我が家の子ども①②が当初は中学受験の予定がないものの、小学生から中学受験コースの塾に通わせたのも、受験算数を学ばせるためでした。
子ども①も高校生になってから言っていますが、数Aの場合の数、数Bの数列に関しては【受験算数勉強していたから理解度も他の子より早いと感じている】と口にしていました。
中学受験のなかでも受験算数は小学校で学ぶことはないため、その意義が取りざたされることは多々ありますが長い目で見ると、実は高校数学への適応力を高めていることにつながるので、大きなメリットになります。
３．勉強と将来のことを真剣に考えるようになる
地方では高校受験が主流ですし、大半の子は中学2年生、3年生になるまでは厳しい受験勉強をスタートしたり、自分の実力で合否が決まるという経験をしません。
また、地方でも教育熱の高い一部のエリアを除くと【小学生から塾通いをさせる】【勉強を重んじる家庭】というのは、子どもに勉強させて息苦しくさせて可哀そう、と思っている方も少なくありません。
牧歌的な空気に包まれた中で子どもは成長していくのが素晴らしい、という考えが支配的です。
ゆったりと成長することは子どもの情操教育にもなり、良いことではありますが、もし大学進学を考えているのであれば小学生の頃から全国のことを知り、自分の将来を考えて勉強するということは子どもにとってプラスになることの方が多いです。
学力グループは小学校高学年で固定化し、中学でも学力上位層、ミドル層、ボトム層は入学早々に形作られていきます。
大学進学を考えている子は進学校を受験しますが、地方の進学校、つまりは在校生の100％近くが4年制大学に進む学校の中でも、最難関、難関大学、国公立大学に進む子が多数いる高校はトップ高校や2番手校に限定されがちです。
入試制度が多様化されて、少子化も進んで一見すると大学受験が簡単そうに思えても、蓋を開ければ【こんなに大学受験は大変なのか】と痛感する子の方が圧倒的に多いです。
地方と都会の教育事情の違いもあり、やはり地方の大学進学希望者にとって後手に回りやすく【都会の子は先取りもガンガンしているのか】【中学生から高校内容を勉強していないと間に合わない】と後悔することになります。
また、中学受験をすることで、早い段階で受験というものを考え、塾で出会う同級生の会話や口にする将来の夢を聞いて刺激を受けることもあります。
我が家の子ども①②も、塾の友達との方が話が合い、結果としてそのことが【国立中学受験】へとつながっていきました。
まだ小学生と言っても、子どもの学力グループは10歳から11歳でほぼ固定してしまいます。
そのことがどんな未来を歩いていくのかも決めてしまいかねない、というのを子どもは思ってもいませんし、親もまさか生まれて10年程度で子どもの未来の大枠が決まってしまうと考えていない人の方が多いと思います。
中学受験に挑むと、こうした現実を知るきっかけにもなります。
まとめ
地方では昔ながらの文教エリア、教育熱の高いエリアの公立中学から進学校を受験するというのが一種のステータスであり、教育熱心な家庭では中学受験を選択せず、そういうコースを目指すケースも多いです。
ただ、公立中高一貫校に魅力を感じる親子もいますし、中学受験を選ぶ家庭も21世紀に入ってから増えてきています。
とはいえ、地方で中学受験をするというのはレアケースですし得られる情報も限られています。
【別に高校受験でも良くない？】と考えたり、周囲から言われることもあるでしょう。
ただ、中学受験をすることでしか得られないプラスの経験があるのも事実です。
