今回は【英語ペラペラなのに読解力ゼロ 『感覚英語』の落とし穴 中高で失速しないための文法力強化術】と題し、お話をしていきます。
YouTube版
エール出版社より本が出版されました。
小学3年生から4年生で気をつけるべきことを詳しく取り上げています。
kindle出版しました。unlimitedでも読めます。
完全に無料で読めるコミックエッセイです。
↓こちらはアマゾンの縦読みfliptoonです。
キンドルとは違う読み心地かなと思いますので、読み比べもしてみてください。
内容は一緒です!
透明教育ママの絵日記 教育系コミックエッセイだけど役に立つ可能性ゼロ【ブログ放置編】
新作です。
kindleのジャンル別ベストセラー獲得しました!
ありがとうございます。
英語を学ぶ敷居が親世代の頃に比べて低くなったことや、小学校で英語が教科化となった影響もあり、地方の市街地周辺では英語を流暢に話す小中学生が珍しくない存在になっています。
英会話スクールやオンライン英会話の普及により、【英語を話す】環境は確実に広がりました。
しかし、その一方で、【話せるのに読めない】【聞けるのに書けない】というアンバランスな英語力を持つ子も増えています。
小学生のうちは耳と口を中心に感覚的に英語を覚えていくため、スピーキングやリスニングは比較的得意になります。
ところが、中学以降に必要とされるのは論理的な文法理解。
単語やフレーズを【なんとなく】で使ってきた子ほど、文法・構文を基盤とした英文読解に急ブレーキがかかるのです。
感覚英語の弊害は、放置すると深刻です。
中学で【文法】が本格的に始まると、【英語が好きだったのに、急に苦手になった】【定期テストや模試で点数が取れない】という子もいます。
そこで今回は、なぜ【ペラペラ】なのに【読めない】子が生まれるのか、
そして、中高で失速しないために家庭でできる文法力の育て方を解説します。
最初に【感覚英語】の3つの謎を解き、次いでそのまま放置する危険性を明らかにし、そして【話す力】を本物の英語力に変える家庭戦略を順を追って紹介します。
英語力とは、単なる発音やスピードではなく、言葉の仕組みを理解して使える力です。
感覚だけでなく論理も育てることが、真に使える英語へと近づけます。
なぜ【ペラペラ】なのに【読めない】3つの謎
まず、親世代の頃よりも英会話ができる、英語学習をしている子どもは増えています。
小学校でも外国人講師とのやり取りも堂々としており、発音もきれい。
そういう子は地方でも、【クラスメイトにいる】というのも珍しくないです。
しかし、中学生や高校生になると突然【英文が読めない】【文法がよく分からない】とつまずくケースが少なくありません。
この現象の背景には、感覚的に英語を学んできてしまった、という弊害があります。
幼少期の英会話では、耳から聞いたフレーズをそのまま真似し、意味よりも音やリズムで使いこなす傾向があります。
そのため【聞ける・話せる】は得意でも、【文として理解する】が苦手になることもあります。
英語は本来、音と文字の両面で育てる言語。
ところが、話す体験が中心になりすぎると、読む力との間にギャップが生まれます。
ここでは、そのギャップを生む3つの謎、①フレーズ暗記で乗り切る感覚的スピーキング、②推測で補うリスニング力、③英会話スクールが文法を避ける理由、を解き明かします。
謎を理解することで、【なぜペラペラなのに読めないのか】という英語教育の根本的な課題が見えてきます。
謎①【フレーズ暗記】で乗り切る感覚的スピーキング
【英語が話せる】と言っても、その多くはフレーズの丸暗記によるものです。
英会話スクールでは、子どもたちはNice to meet you. How are you? I’m fine.など、状況に合った表現をリズムで覚え、会話を成り立たせています。
この方法は【英語の音に慣れる】【英語を楽しいと感じる】という面で非常に有効です。
しかし問題は、【なぜその文になるのか】を理解していない点です。
主語・動詞・時制といった文の構造が分からないまま、単にこの場面ではこの言い方を記憶しているにすぎません。
そのため、少し表現を変えられると理解が止まり、応用が効かなくなります。
たとえば、I have been to Kyoto. と I have gone to Kyoto. の違いが分からないのは、文法の仕組みを意識せずフレーズを覚えた結果です。
フレーズ暗記は英語学習の出発点には最適ですが、それを【自分の言葉】に変えるには、文法という裏側のルールを意識する必要があります。
言える英語から理解して使える英語への転換こそ、真の英語力の始まりです。
謎②【推測】で乗り切るリスニング力
英語を聞き取る力があるように見える子どもの多くは、実際には【音の一部+状況判断】で意味を推測しています。
たとえば先生のジェスチャーや表情、周囲の流れから内容を想像し、だいたいこういうことかなと理解しているのです。
この方法は初期学習では効果的ですが、感覚的な理解にとどまると、正確さに欠けるリスニングになります。
たとえば She didn’t mean to hurt you. を【怒っている】と誤解するように、文法や語法の知識がないと、意味を正しくつかめません。
また、リスニング中心の学習では耳ばかりが発達し、文字を読む力(読解力)が育ちにくくなります。
中学以降、英語が【読む・書く】中心に変わったとき、【聞けるけど読めない】【音は分かるけど意味が分からない】という壁に直面してしまうのです。
聞く力を理解する力に変えるには、音だけでなく文法的な構造理解が必要です。
推測に頼るリスニングから、根拠を持って理解するリスニングへ。
この切り替えができるかどうかが、中学以降の英語力を左右します。
謎③英会話スクールが【文法】を避ける理由
多くの英会話スクールは、子どもに【英語を楽しいもの】と感じさせることを重視します。
そのため、塾のように文法用語の指導をあまり行わず、【間違いを細かく指摘しない】指導方針を取ることが多いのです。
子どもに自信を持たせるうえで、それはとても良いアプローチです。
しかし、この文法を避ける文化が、のちに【読めない】【書けない】英語を生む原因にもなります。
文法を【難しい】【退屈】と感じたまま中学、高校に進学すると、教科書の最初の文法説明で一気に苦手意識が芽生えてしまうのです。
本来、文法は【正しく話すための地図】です。
ルールを知ることで、自由に道を選べるようになります。
それを知らずに話している状態は、感覚だけで運転しているようなものです。
家庭でのサポートとしては、スクール任せにせず、【どうしてこの文になるんだろう?】と一緒に考える習慣をつくることが大切です。
文法を学ぶ=英語の仕組みを理解することと伝えるだけで、子どもの英語観は大きく変わります。
【感覚英語】放置する3つの危険性
さて、【英語が得意】と感じている小学生ほど、中学で急に失速する。
その背景には、感覚英語に頼りすぎた学び方があります。
英語が【遊び】や【会話】として楽しく身についている間は順調でも、中学以降に始まる論理的な文法学習の段階で、理解が追いつかなくなるのです。
つまり、小学生のうちは【なんとなく分かる】【聞いたら思い出す】で乗り切れても、中学からは【なぜそうなるのか】【文の仕組みを説明する】ことが求められます。
この転換点で感覚だけの英語は限界を迎えます。
ここでは、感覚英語を放置したまま進むことで起こる3つの危険性、①中学の論理的文法で失速する、②幼稚な英語から抜け出せない、③大学受験の長文読解で通用しない、を詳しく見ていきます。
一見、順調に見える今こそ要注意。
【できている今】に安心してしまうことこそ、英語力の成長を止める最大のリスクなのです。
危険性①中学の【論理的な文法】で必ず失速する
中学英語の学びは、小学校英語の【慣れ親しむ英語】とはまったく異なります。
そこでは、be動詞・一般動詞・助動詞・疑問詞・時制など、英語の文の仕組みを体系的に理解することが求められます。
ところが、感覚英語で育ってきた子は、【文法=新しい言葉のルール】だと思い込んでしまい、【なんだか難しそう】【英語が急に嫌いになった】と感じるようになります。
実際は、これまで感覚で使ってきた英語を論理的に整理するステップにすぎないのですが、説明的な授業に慣れていないため、混乱してしまうのです。
とくに、【主語と動詞の関係】【時制の一致】【文型の違い】などは、感覚では理解できない領域です。
ここでつまずくと、英文を読んでも文の構造が分からず、【単語の並び】としか認識できなくなります。
中学からの英語をスムーズに理解できる子は、小学生のうちに英語は意味のかたまりでできているという感覚を持っています。
その土台がなければ、ペラペラだった英語も、一気に分からない言語へと変わってしまうのです。
危険性②いつまでも【幼稚な英語】から抜け出せない
感覚英語のまま成長すると、表現の幅が広がりません。
単語やフレーズは知っていても、理由を述べる意見を比べる条件をつけるといった論理的な文を組み立てることができない、ということになります。
たとえば、I like dogs. までは自然に言えても、because they are friendly and loyal. と続けて説明する力が育たない。
これは、文法的な構造(主語+動詞+接続詞など)を意識せずにフレーズ単位で英語を覚えてきた結果です。
このまま中高生になっても、話す英語は身近な話題ばかりになってしまいます。
感情表現や説明はできても、意見や思考を展開する英語に進化できません。
英語を【自分の言葉】にするには、【単語を並べる】から文で【伝える】へステップアップする必要があります。
文法は、決して難解なルールではなく、思考を伝えるための骨格です。
それを避け続ける限り、英語はずっと【子どものままの言語】に留まります。
危険性③大学受験の【長文読解】で通用しない
英語の最終目標は、英語で考え、英語で理解すること。
しかし、感覚英語のまま中高へ進むと、この段階で必ず限界を迎えます。
大学入試の長文問題では、単語の意味だけでなく、文構造や文脈の論理を読み解く力が求められます。
どこが主語で、どこが述語なのか修飾語はどの語にかかっているのか、という構文把握ができなければ、内容を正確に理解することはできません。
感覚的に【なんとなく分かる英語】では、長い文の中で情報を整理できず、読み進めるほど混乱します。
リスニング中心の学習で育った子ほど、文字を追う学習への切り替えに苦戦します。
読解力とは、単語力やスピードではなく、文の仕組みを読み解く力のことです。
中学のうちにその基礎を築かないと、高校・大学受験の段階で【得意だった英語】が急に苦手科目になるという現象が起こります。
話せるで終わらせず、理解して使える英語へ。
今こそ、英語の文法を未来の武器に変える時期なのです。
【話せる力】を【本物の英語力】に変える3つの家庭戦略
ところで、感覚英語で育った子どもが中学以降も英語を得意科目として伸ばすためには、家庭での関わり方がカギになります。
英語は【勉強】というより【使う言語】だからこそ、親の一言や関心の示し方で、子どもの英語観が大きく変わります。
文法を教え込むのではなく、【使うと便利】【分かると楽しい】と感じさせる。
この感情の方向づけが、長期的な英語力の差を生み出します。
また、家庭学習の中で大切なのは、【読む・書く・話す・聞く】のバランス。
どれか一つだけに偏ると、英語力はすぐに頭打ちになります。
とくに、読書やライティングなど【静的な学習】が苦手な子には、親が環境を整えて自然に触れる工夫をしてあげることが効果的です。
ここでは、【話せる英語】を【読めて考えられる英語】に進化させるための3つの家庭戦略、①読書で文法を自然にインストールする、②文法をスピーキングの道具として教える、③ライティングで思考を整理させる、を紹介します。
戦略①【読書】で文法を自然にインストールする
文法を机上で教え込もうとすると、どうしても退屈なルール暗記になりがちです。
しかし、英語の絵本や児童書を読むことで、文法は自然と体で覚える知識になります。
たとえば、He is running. She was happy. など、同じ文型が繰り返し登場する物語を読むうちに、子どもは文法用語を知らなくても【時制が変わると動詞の形も変わる】と感覚的に理解します。
重要なのは、読むことを目的化しないこと。
親が【この文、前のページと違う言い方だね】と自然に声をかけるだけで、子どもは文法の違いに気づく体験を積み重ねていきます。
また、英語多読を通じて英文のリズムを身につけることは、リスニングやスピーキングの土台にもなります。
音読や朗読を取り入れると、【読む】【聞く】【話す】が同時に鍛えられます。
家庭では、レベルに合った短い絵本を選び、文のかたちを親子で一緒に楽しむ姿勢が何より大切です。
文法を【説明】ではなく【発見】で学ぶ。
これが、自然な文法習得の第一歩です。
戦略②【文法】を【スピーキングの道具】として教える
子どもが文法を苦手にする最大の理由は、【使う場面がないから】です。
教科書で覚えたルールを実際に話す中で活かせなければ、それは試験のための知識でしかありません。
そこで家庭で意識したいのが、文法を【正しく話すための道具】として扱うことです。
たとえば、日常の会話で【I went to the park.】と言ったら、親が【Oh,when did you go there?】と軽く返す。
このように自然なやりとりの中で、時制や助動詞などの文法要素を使って確認する機会を増やします。
また、スピーキング練習では【正確さ】よりも【意識づけ】を重視しましょう。
完璧に話すことより、【こう言うときは動詞が変わるんだ】と気づくことが大切です。
文法は頭で覚えるものではなく、使って理解する知識です。
親が【間違ってもいいから言ってみよう】と支えることで、子どもは安心して文法を使う英語へと成長していきます。
戦略③【ライティング】で論理を整理させる
英語で【書くこと】は、思考力と文法力を同時に育てる最強の学習法です。
話すときには曖昧な表現でごまかせても、書くときには【どんな語順で、どの単語を使うか】を明確にしなければなりません。
その過程で、自然と文法の重要性に気づいていくはずです。
最初は一文で構いません。
たとえば、【Today I am happy because I played soccer.】のように、主語+動詞+理由の型を使って日記を書くところから始めましょう。
親は文法の誤りを指摘するよりも、【becauseを使って説明できたね】【過去形になってるね】と発見を褒めること。
子どもが【ルールを使うのって楽しい】と感じられることが、文法定着のカギになります。
また、書いた文を声に出して読ませると、スピーキング・ライティング・読解が一体化します。
書く=考えるという習慣は、中学・高校の論述や英作文にも直結します。
感覚英語を論理英語へ進化させる最後のステップです。
【スピーキング】と【文法】は英語力の両輪
英語を【話せるけれど読めない・書けない】という状態から脱するためには、スピーキングと文法を別々の力として扱うのではなく、両輪として育てる視点が欠かせません。
感覚英語で得た話す力は、確かにコミュニケーションの土台ですが、中学・高校での学習や大学受験での長文読解、論述問題には対応できません。
一方、文法だけを覚えても、使えなければ実際の英語力には結びつかないです。
家庭でできる最も効果的なアプローチは、学習を【発見と活用のサイクル】にすることです。
読書を通じて文法を自然に身につけ、スピーキングを使いながら理解を深め、ライティングで論理を整理する。
この循環こそが、感覚英語を本物の英語力へと進化させます。
親は細かく正すよりも、【気づき】を与え、挑戦を支える姿勢が大切です。
この3つの家庭戦略を取り入れることで、子どもは英語を【話すためだけの道具】ではなく、思考や学びを広げる力として使えるようになります。
スピーキングと文法は決して対立するものではなく、互いに補完し合う関係です。
この両輪をバランスよく回すことで、子どもは中学・高校でも英語力を失速させず、将来にわたって自信を持って使える英語を身につけることができます。
結局のところ、英語力は【話す力】と【読む・書く力】の融合です。
どちらかに偏るのではなく、両方を意識して育てることで、子どもは感覚だけでなく、論理的にも使える英語力を手に入れられます。
















