今回は【10歳で学びが止まる子、伸びる子 決定的な違いはどこにある?】と題し、お話をしていきます。
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ありがとうございます。
親は子どもの頃に気がつかなくても、子育てをしていて気がつくことはたくさんあります。
その一つが10歳の壁、小4の壁ではないでしょうか。
小学校の成績は良好。
先生からの評価も高く、宿題もきちんとこなし、テストでも高得点。
家庭での学習習慣も整っていて、【うちの子は勉強が得意】【勉強面であまり不安はなさそう】と感じている方は少なくありません。
ところが、小学4年生頃から、少しずつ不安の影が差してくることがあります。
たとえば、【応用問題になると時間がかかる】【説明が曖昧】【解き方を教えないと先に進めない】【なぜか問題文を読み飛ばしてしまう】など。
今まで難なくこなしてきた勉強に、微妙な引っかかりを感じるようになるのです。
塾で仕事をしている時も、あまり勉強しない子は小学3年生の桁数の増えた計算で苦戦し、イライラする回数が増え、それなりに勉強する子でも単元によっては高得点が取れなくなるのが小学4年生、クラスで優等生の子の中でも苦手単元が出てくるのが小学5年生と、10歳前後はどの学力層に属している子でも他人事ではない問題が出始めます。
こういう状況になるのですから、【これが小4の壁?】【うちの子は成績がいいから関係ないと思っていたけど…】そんな疑問や不安が、真面目に学習に向き合ってきた家庭ほど大きくなります。
とくに教育に関心がある親にとっては、【このままのやり方で本当にいいのか】【中学以降にも通用する学力が身についているのか】気になり始めるタイミングでしょう。
この【小4の壁】【10歳の壁】は、単なる学年の節目ではなく、学力の質が問われ始める本格的な転換点です。
表面的な優等生では乗り越えられない考える力や言葉にする力が、今後の学びを左右するようになります。
そこで今回は、小4の壁の正体を学力の観点から丁寧にひもときつつ、今、親ができることは何か、どうサポートすれば子どもが伸びていけるのかを、考えていきます。
学びが止まるのか、それとも加速するのか。
その分岐点に立つ今だからこそ、知っておきたいことがあります。
10歳で立ち止まる子の共通点
まず、小学校4年生以降は、これまでと比べて教科書の内容に抽象性が増し、【覚えれば解ける】から【考えないと解けない】内容へと大きく変化する時期です。
たとえば小学校5年生の算数では割合や単位量あたりの考え方、国語では登場人物の心情や文章構造を読み取る力が求められ、表面的な理解だけでは通用しにくくなります。
それまでは、先生の言うことをよく聞き、真面目に取り組めば優等生とされていた子どもも、思考力や読解力、論理的に物事をつなげる力といった地力がないと、ここから先で伸び悩む傾向があります。
つまり、小3までの学びではまだ表立ってその差が出ることのなかった【考える力】や【言語化する力】が、10歳を迎えるあたりから一気に問われ始めるのです。
とくに国語と算数で求められる力の質が変わることで、授業中に発言できていた子が突然黙ってしまったり、テストでは正解していても、説明を求めると曖昧だったりする様子が見られることがあります。
【わかっているようで、実は浅い理解だった】というケースが、この頃から浮き彫りになるのです。
そして、小4以降、学習内容はパターン処理型から論理構築型へと変わっていきます。
すなわち、【この形の問題にはこのやり方】という暗記的な対応だけでは解けない問題が増え、自分なりに筋道を立てて考えることが求められるのです。
しかし、今まで【教わった通りにやれば正解できた】子ほど、そこで大きな壁にぶつかります。
なぜなら、正解への道筋を自分でつくる訓練をしてこなかったからです。
たとえば、割合の文章題で【何を出せばいいのかがわからない】と混乱したり、読解問題で【問いに関係のない部分】を答えとして書いてしまったりといったことは、その典型です。
また、優等生タイプの子どもほど、失敗や間違いに慣れていない傾向があるのも、親としては気をつけてください。
【わからないこと】に直面すると不安になり、時には学習への意欲そのものが下がってしまうこともあります。
【試行錯誤することに意味がある】と体験的に理解できていないため、【すぐに答えが出ない=自分はダメだ】と極端に感じてしまうのです。
こうした状況は、学力の停滞だけでなく、学ぶこと自体への苦手意識にもつながるため、親が【やり方を教える】姿勢から、【一緒に考えてみよう】【どう思う?】と促す関わり方にシフトしていくことが必要になってきます。
もちろん、成績が安定していると、【うちの子は大丈夫】と思いたくなるのが親心です。
しかし、10歳の壁が厄介なのは、【一見できているように見える】ことにあります。
テストの点は良い、先生からの評価も高い。
けれど、いざ応用問題になると答えられない、記述になると途端に曖昧。
そうした子は少なくありません。
これは、学力の深さがまだ伴っていない状態です。
つまり、【教わったことを再現する力】はあっても、【応用する力】【論理的に説明する力】が追いついていない。
そうした表面的な優等生像は、小5年生頃からガタガタときて、中学に進んでから急速に崩れやすくなります。
塾で出会った子ども達を振り返っても、中学以降では【できる子】と【伸び悩む子】の分岐が顕著に表れますが、その差は実はこの10歳前後からゆるやかに始まっています。
だからこそ、今のうちに【うちの子は本当に理解できているのか】【自分の言葉で説明できるか】をチェックし、必要に応じて学びの質を高める工夫が求められます。
成績や通知表だけで安心せず、【その力が中学以降でも通用するか?】という視点で、子どもの理解の質を見直すことが、10歳の壁を乗り越える第一歩になります。
10歳で伸びる子に共通する3つの力
さて、10歳を過ぎるころから、学習は【正しく早く解くこと】から、【自分で考えながら、じっくり解くこと】へと質が変わってきます。
こうした変化の中で、大きく伸びる子に共通しているのが、【試行錯誤を面倒がらない力】です。
小学校3年生までの学習は、ある程度型に当てはめれば解ける問題が多く、真面目にコツコツ取り組むだけでも良い結果が出せました。
しかし、小4以降は、文章題やグラフなどの資料を扱う単元では複数の条件を組み合わせて考える学びや、初見の文章を読み解くような【正解までの道筋が1つではない】問題に取り組むことが増えていきます。
そこでは、【何度も試す】【間違えながら考える】ことを厭わない姿勢が、成績の伸びに直結します。
とくに重要なのは、【失敗や間違いに対する耐性】です。
これまで完璧にこなしてきた子ほど、親に優等生らしさを求められる子ほど【間違える=悪いこと】と無意識に思い込んでいるケースがあります。
そのため、少しでもつまずくと手が止まり、【もう無理】【やりたくない】と諦めてしまうことも。
一方、伸びる子は失敗を否定されることなく育ち、【うまくいかないからこそ面白い】と感じられる感覚を持っています。
家庭で【間違えてもいいよ】【やってみよう】といった声かけをしていると、自然と挑戦への心理的ハードルが下がり、自分から考えたり粘ったりする力が育っていきます。
この力があれば、小4以降の抽象的な問題にも対応できるだけでなく、将来的な思考力や創造力にもつながっていきます。
次に注目したいのが、【言葉にする力】です。
これは、単に語彙力があるという話ではありません。
【自分の考えを、筋道立てて他人に伝えられる力】、すなわち論理的思考の土台となる力です。
算数の文章題で【なぜその式を立てたのか】、国語の読解問題で【どうしてその答えを選んだのか】を説明させたとき、子どもがスムーズに答えられるかどうかは、理解の深さに直結します。
理解が本物であれば、自然と説明ができます。
逆に、表面的に解いているだけの子は、【何となくそう思った】【前もこのやり方だったから】と曖昧な答えになりがちです。
【言葉にする力】は学校ではあまり訓練されにくいため、家庭での関わりが非常に大切です。
日常の学習の中で、【なんでそう思ったの?】【ほかの考え方はある?】と問いかけてみましょう。
考えが不完全でも、考えるプロセスに注目し、子どもが自分の考えを形にしていくことを支える姿勢が大事です。
また、読書や日記も効果的です。
自分の考えや感じたことを文章にすることで、頭の中を整理する力が鍛えられます。
特に、小4以降は【読む力】よりも【書く力】【説明する力】が問われる場面が増えていきます。
今のうちに言語化する習慣をつけておくことで、中学・高校での論述問題や面接対策にもつながるでしょう。
そして、子どもにとって勇気がいるかもしれないけれど重要なことが、【わからない】と言える力です。
完璧さを求める優等生タイプの子ほど、【わからない】と言えない傾向があります。
これまでできる子という評価を受けてきた子ほど、失敗や質問をすることに対して【恥ずかしい】【怒られるかも】と感じやすく、分からないことを隠してしまうのです。
しかし、小4以降の学習では、分からないことをそのままにしておくと、連鎖的につまずきが増え、気づいたときには授業についていけなくなっていることもあります。
だからこそ、早い段階で【わからないことを素直に伝える力】を育てることがとても大切です。
この力は、ただの勇気ではありません。
家庭で【わからなくても大丈夫】【一緒に考えよう】と伝え続けることで、安心して弱さを見せられる土台ができます。
子どもが【この問題、ちょっとわからない】と言ったときに、【なんでわからないの?】と責めるのではなく、【どこまでわかってる?】【一緒に整理してみようか】と声をかけることで、子どもは【わからないことを共有してもいいんだ】と感じられるようになります。
また、【わからない】を共有することで、子ども自身も【自分が何を理解していないのか】に気づくようになり、学習の主体性も育っていきます。
この力が備わると、塾や学校でも自分の課題を的確に伝えられるようになり、先生からの支援も受けやすくなるのです。
ここで触れた【試行錯誤を面倒がらない力】【言葉にする力】【わからないを伝える力】は、どれも目立たず、テストの点数にはすぐ反映されない見えにくい力です。
しかし、小4以降の学習を支える【土台】として、確実に成績や学びの質に差をつけていく力でもあります。
大切なのは、これらの力は生まれつきの才能ではなく、日々の関わりや声かけによって、後からでも十分に育てられるということです。
だからこそ、10歳という節目を、学びの終わりではなく、本当のスタートとしてとらえ、家庭でできることに丁寧に取り組んでいくことが、子どもを大きく伸ばすきっかけになるのです。
小4・10歳の壁を乗り越えるために、家庭でできること
ところで、小学校中学年までの学習では、【正しい答えを出すこと】が重視される場面が多く、家庭でも【何点取った?】【ちゃんとできた?】と、結果を基準に子どもの学力を判断しがちです。
しかし、小4以降で必要とされるのは、むしろ【どうやってそこにたどり着いたか】という思考のプロセス。このタイミングで、家庭でも正解主義から脱却することが非常に重要です。
たとえば、家庭学習で難しい問題に取り組んでいるとき、【この問題の答えは何?】と聞くのではなく、【どう考えたの?】【なんでその方法を選んだの?】と問いかけてみましょう。
仮に答えが間違っていたとしても、【その考え方、面白いね】【工夫しようとしていたのが伝わってきたよ】と、子ども自身の思考に注目してあげると、学ぶこと自体への意欲が高まります。
また、つい正しい解法をすぐに教えたくなるのが親心ですが、ぐっとこらえて【どこでつまずいていると思う?】【どうやったら進めそう?】と、子ども自身に問い返すことが、主体的に学ぶ力を育てる第一歩です。
正解までの遠回りこそが、地力を育てる時間だと考えましょう。
そして、どんなに子ども想いの親であっても、すべての学習支援を家庭だけで担うのは現実的ではありません。
思考力や探究力を深めたい場合、家庭だけの学習に限界を感じることもあるでしょう。
そのときは、外部の学びの場を活用するのも一つの手です。
たとえば、思考力を重視した探究型学習塾や、記述・表現力に特化した教室、読解力育成を目的としたオンライン教材など、【中学受験用】でなくても、自発的な学びを促す環境は多数あります。
そうした場所では、家庭ではできないような【意見のぶつかり合い】や【他者の考えに触れる体験】ができるため、子どもの思考に深みが出てきます。
さらに、【塾=中学受験】と思い込まず、子どもの性格や興味に合った学びのスタイルを選ぶことが大切です。
家庭と外の学びのバランスをとることで、親子の関係も良好に保ちつつ、より良い学習習慣を形成することができます。
10歳の壁を乗り越えるカギとなるのは、子ども自身が【学ぶって楽しい】【もっとやってみたい】と感じられるようになることです。
そのためには、結果だけではなく、取り組む姿勢や工夫に目を向けてあげる必要があります。
たとえば、【この問題、どう考えたの?】【ここ、前よりスムーズにできてたね】といった声かけは、子どもの努力や成長を認めることにつながります。
大人から見れば小さなことでも、【わかろうとした姿勢】【途中でやめなかった粘り強さ】は大きな価値があります。
また、【できる子】に育てようとするのではなく、【学び続ける子】を育てる視点を持ちましょう。
どんな子でも、壁にぶつかることはあります。そのときに、【うまくいかない時もあるけど、それでも前に進める力】を養うことが、最終的には学力の差を生み出します。
家庭の中で日常的に、【やってみたこと】【工夫したこと】を話題にする習慣があると、子どもは自分の学びに対してポジティブな感情を持ちやすくなります。
そしてそれが、10歳の壁を乗り越え、将来にわたって学び続ける力の基盤となるのです。
小学校4年生ごろに多くの子が直面する【10歳の壁】。
これまでスムーズに勉強してきた子が、急につまずき始めたり、自信を失ったりする時期として知られています。
でも実は、この壁は止まる時期ではなく、【本当の意味で学びが始まる転機】でもあるのです。
それまでの学習は、【やり方を覚えれば解ける】【真面目にやればできる】といった優等生的な姿勢で乗り切れるものでした。
しかし10歳を過ぎると、文章の読み解きや図形・割合のような抽象的な思考が求められ、考える力の差がはっきりと見えるようになります。
ここでしっかり伸びる子は、【わからないことに立ち向かう力】や【考える過程を楽しむ姿勢】を持ち始めているのです。
だからこそ、親の関わり方が重要になります。
点数や正解ばかりを追うのではなく、【どう考えたか】【どこで工夫したか】に注目する姿勢に切り替えること。比べるのではなく、子ども自身の成長を見守ること。
そうした日々の接し方が、10歳の壁を乗り越える力になります。
10歳は壁ではなく、可能性の扉。
親子で一緒に一歩を踏み出すタイミングなのです。