今回は【良い学区を選ぶ時の注意点】と題し、お話していきます。
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ありがとうございます。
子どもが小学校に入学する、または中学に入学するタイミングで引っ越しを考える方もいます。
とくに公立小中学校は学区によって在籍する子どもの雰囲気、教育に対して熱心な家庭が多いか等雰囲気も異なります。
習い事や塾の教室もあり、より良い環境を求めるのであれば教育に関心の強い家庭が多い学区への移住を検討するのも自然な流れです。
インターネット上でも、【転勤で○○県の○○市に引っ越すことになりましたが、子どもが小学生なので教育に関心の強いご家庭が多いエリアの小学校に入らせたいと思います。おすすめのエリアはありますか】という質問があるなど、学区選びというのはとても重要です。
公立小中学校は義務教育期間であり、使用する教科書のレベルも全国津々浦々共通しています。
しかし、授業の進め方や定期テストの問題の難易度も学校によってかなり違います。
塾で仕事をしている時も、複数の中学校の問題をそれぞれ通っている生徒から見せてもらいましたが、教科書やワークからそのまま出されている学校もあれば、ワークからの出題だけでなく先生オリジナルの問題が出る学校、入試問題風な学校と同じ公立中学でも在籍している生徒の学力に合わせており、まさに千差万別でした。
さすがに引っ越しを検討する最中に【中学の入試問題はどんなものなのか】と考えて調べる人はいないと思いますが、それくらい学区によって学力差があるのは確かです。
学区による学力差をちゃんと理解していないと、子どもが入学してから【こんなはずじゃなかった】と後悔することになります。
公立小中学校でも児童生徒の学力というのは同レベルではないということを前提に、引っ越す場所を考えていくというのは子育て世代にとっては大切なポイントになります。
そして、気をつけて欲しいのはたとえ進学実績が良い中学校でも、生徒数が多ければトップ層とボトム層の学力差がかなりあるということを意味しています。
公立中学では学校の授業のレベルはトップ層に合わせることはできません。
定期テストの問題はやや簡単、授業も真ん中より下の子に合わせます。
ですから、トップ層にとって学校の授業は面白みに欠けるということもあります。
パッと見て進学校の合格者が多い学校であってもマンモス校だと割合をみれば他の中学とさほど変わらないということもあるので、生徒数を必ずチェックしてください。
それでは、具体的に良い学区に引っ越しを検討する時の注意点をご紹介していきます。
1.学力が高い子が多い
親が感じる良い学区というのは、教育熱の高い家庭が多く、子どもたちも落ち着いていて、習い事や塾も充実していて進学校への実績が良い中学校があるということになると思います。
良い学区のエリアを不動産業界では【文教エリア】【文教地区】と表現することがあります。
昔から教育熱の高い学区は不動産価値も高く、戸建てやマンションも高くなるもののそれを支払える家庭が引っ越してきて、必然的に高所得で子どもの教育に関心の高い家庭が住むという流れになります。
私が小さい頃に住んでいたエリアは、市街地の昔ながらの文教エリアの一角だったこともあり、中学も市内有数の進学実績を誇る公立中学でした。
進学校を目指す子も多かったのですが、当時はどの中学もこんなものだと思っていました。
そうではないと気がついたのは、高校に進学してからです。
たとえ同じくらいの生徒数でも、中学によっては自分一人という子もいたり、10数人という学校もあり【中学によって進学する人数がかなり違う】という現実から、学区による教育熱の高低差を感じ取ったのです。
教育熱が低い学校はトップ3に入っていない限り進学校に合格することはできませんが、教育熱が高い中学なら安泰とは限りません。
教育熱の高い学区に住んで、中学に通うということは内申書の評定でライバルが多く、少しでも苦手教科があると評定が下がってしまう恐れがあります。
また、周囲のレベルの高さに怖気づいてしまい、勉強を頑張る意欲が低下してしまう子もいます。
小学生の頃は優等生でも、複数の小学校の子どもたちが集まる中学では各学力グループも2倍、3倍に増えていきます。
つまり、学力最上位層は本当に賢い子たちだけが属するので、【小学生の時のクラスの賢い子】がそこから滑り落ちることもよくある話です。
そして、教育熱の高い学区の周辺には塾もたくさんあり、そこに通うと中学での序列がそのまま塾でも引き継がれて、上位クラスにいる子とそうではない子の差というのが同級生の間での共通認識となり、【自分はあの子達には勝てっこない】と自己肯定感が下がるという悪循環に陥ることもあります。
親としては子どものことを思って、引っ越し先を選び、良い教育環境の中で学校生活を送って欲しいと思っていたことが裏目に出てしまうこともあるので気を付けてください。
2.学区の中学でどの位の順位になりそうか考える
教育水準の高い地域の公立中学は通っている中学生の学力レベルも高く、しかも上位層の人数も多くなります。
『他の中学ならトップ5に入るのに、この学校だから20位前後になる』ということも珍しくありません。
小学生時代にたとえカラーテストで満点や高得点を連発していても、必ずしも中学でも最上位層かそれに次ぐ上位グループに属せる保証はないです。
最上位層の中には、家庭学習でかなり難しい問題も勝手に一人で解いている子もいれば、塾の一番上のクラスで応用的な内容を学び、問題を解いているという子も少なくありません。
小学生の時のテストはある一定以上の学力があれば高得点を取れますが、教育熱の高い公立中学の応用問題も普通に出る定期テストで高得点を取るのはなかなか難しいです。
【まさかうちの子がこの程度の点数なんて】と真っ青になることもあります。
教育熱の高い学区の最上位層には大都市圏の最難関高校を受験して合格できる神童レベルの子もいたりします。
そこまでではないけれど、鍛えれば全国的な知名度を誇る難関私立高校に受かる学力を保持する子もいるので、子どものリアルな学力を踏まえて【中学のテストでどの位の順位になりそうか】と冷静に考えてください。
教育熱の高い学区の中学は概ね進学校への合格者数が一定しています。
狙っている学校には校内で何番以内に入っていれば合格できそうかとリサーチし、我が子がなりそうな順位や、実際になった順位と比較して足りない部分、どのくらい頑張らないといけないのかを出来れば中学に入る前から計画を立てるのが無難です。
入学してから頑張ろうと思っても、部活と勉強の両立、そこに塾通いも加わると忙しさと疲れがたまり、最上位層に立ち向かう態勢が整いません。
我が家では、子ども①②が中学受験をしましたが、進学先の国立中学はトップ高校への合格者数が数人の誤差はあるものの、毎年ある程度決まっているので【○○以内なら合格する可能性大】と事前に調べてその校内順位に入れるかどうか見定めましたし、その順位に入れるようにと励ましの言葉をかけていました。
良い学区に住んで学力が高い生徒が多い中学に入ったから安心ではなく、その中で自分の子どもがどの位の順位を取れるのかと未来を見据えていくようにしましょう。
3.問題児がいないとは限らない
良い学区だからトラブルのない学校生活を送れると思いがちですが、学年によってはとんでもないトラブルメーカーがいる時もあります。
これは私も子育てをしているので何度か経験、見聞しています。
例えば、【今の5年生はすごいことになっている】とか、【逆に6年生はトラブルもないまま卒業式を迎える】ということがありました。
トラブルというのは、個人個人受け止め方があると思いますが、オンラインゲームで課金させる、価値のないカードだとウソを言って同級生の持っていたレアカード交換させるといったお金に絡んだ問題や、暴力、授業妨害、学校から脱走するなど色々ありました。
一応、周囲の学区に比べると安定した小学校でも学年によって起きるトラブルのレベルが異なります。
近隣の優良学区の中学でも数年前にとんでもない子達が数人いて、小学校時代から保護者会が定期的に開催されたり、保護者が授業中見回りをするなど問題児対策をしていたと耳にしたことがあります。
中学でもその学年は荒れ気味で大変だったという話でしたから、いくら教育レベルの高い地区の中学でも、学年によって問題児がいると学校生活もガラリと変わってしまいます。
逆に、もともと荒れている中学校で、その学校に行かせたくない家庭が越境という手段で隣の中学に進学させたところ、荒れていた中学は生徒数が減り先生が細やかな指導をし生徒が一緒に何かをする行事を増やしたところ問題が激減したという学校も、私のこれまでの人生で実際に見聞きした中でありました。
一方、生徒数が増えた隣の中学校ではトラブルが増えてしまいました。
本当に何が起きるかわかりません。
近隣に住んでいて進学を契機に隣の学区に引っ越すという場合、習い事などで一緒のママさんから色々と情報を仕入れることはできますが、遠方から引っ越しをする場合、こうした情報を入手するのは難しいものがあります。
『教育熱の高い地域だから安全』と過信せず、トラブルメーカーがいるかもしれないと覚悟してください。
夢ばかり見てしまうと、現実とのギャップを前にして落胆してしまい、学区探しをして、子どもが入学する学校を決めた自分を責めてしまうことにもなりかねません。
人生には色々なことが起きるという大きな気持ちを持って学区探しをしていきましょう。
まとめ
子どもを育てる親の立場だと、子どもが多くの時間を過ごす小学校や中学校がどのような雰囲気なのかはすごく気になることです。
とくに中学生になると学力レベルの高い学校かどうかは高校受験にも影響を及ぼすポイントなので、無視できません。
教育熱が高ければより良い学区の中学に通うことを考えますが、必ずしもそれが成功するとは言えない難しさがあります。
子どもの学力、学校で最上位層やその次位の学力層になれるかどうかやトラブルを起こす子どもの有無などの情報収集し、ベストな学区を選んでいきたいですね。