今回は【地方あるある 大学受験の見通しが甘すぎる問題】と題し、お話をしていきます。
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大都市圏では中学受験する子が多い地域もありますが全国的には中学受験は少数派で、地元の公立中学に進学する子が圧倒的に多いです。
文部科学省の令和4年度学校基本調査によると、令和4年度に中学に在籍している生徒は320万5,220で、そのうち公立中学に在籍しているのは293万1,722人と、全体の約91.5%にあたります。
ですから、人生初の受験というのは【高校受験】、そして高校に入学したら大学受験という流れになります。
しかし、【地方あるある】として知られるのが【大学受験の見通しが甘い】という問題です。
高校受験と同じような感覚で大学受験を乗り越えようとする。
けれど、痛い目に合ってしまう、というものです。
どうして見通しが甘くなるのか。
どうすれば甘くならずに大学受験を乗り越えていけるのかを考えていきます。
問題1.高校受験経由だと大学受験まで2年半しかない
地方ではド定番の高校受験。
晴れて高校生活がスタートし、勉強も大切だけれど部活や恋愛など青春を満喫したいところですが、想像以上に次の受験まで時間がありません。
大学受験では総合型選抜、推薦型選抜を受ける場合は概ね高校三年生の秋から出願が始まるので、入学してから2年半しかないのです。
高校生になった!、と喜んでいたらあっという間に受験が近づいている。
中高一貫校の場合は高校受験がないので、学校に入学した時点で大学受験に焦点を合わせて過ごせます。
しかし、高校受験を経由する場合は短期間で仕上げる必要があります。
けれど、その事実に気がついて行動する生徒は多くはないです。
【高校2年の冬くらいから準備すれば大丈夫】【部活を引退してから頑張る】と高校受験の時と同じような感覚でいたら、時間が足りず、全く手に負えない状況になることもあります。
問題2.全国規模だと気がついた時には遅すぎた
地方に住んでいると、なかなか全国規模の模試などを受ける機会がないまま大きくなります。
今では、小学生向けの無料の全国模試が地方でも実施されていますが、それは一部の教育熱心な家庭の子が受けるくらいです。
中学受験をしない地方の小学生は中学生になると学校の定期テストや自治体の模試で自分の立ち位置を把握するようになります。
つまり、狭い範囲での順位に慣れてしまうのです。
多くの地方在住で大学進学を考えている子が、初めて全国規模の模試を受けるのは高校生になってからです。
全国での自分の立ち位置を見ても、母数が多くてどの程度なのかピンとこないこともあります。
ようやく現実を知るのは、志望校判定を見てからです。
上には上がいることを知り、挽回するには相当な努力で、時間も足りないことを自覚します。
大学入試は全国の同級生、そして既卒者との戦いです。
少子化と大学の数から、ぜんにゅう時代と言われて久しいですが、人気のある大学、学部学科への進学は熾烈を極めます。
倍率も高校受験とは比べ物にならないくらい高くなるので、直前になって慌ててしまうのです。
問題3.入試制度の多様化で後れを取ってしまう
親世代の頃に比べると入試制度が多様化しており、どの制度を利用するか悩んでいるうちに後れをとってしまうことがあります。
以前はAO入試と呼ばれていた総合型選抜は、簡単というイメージがまだ残っています。
しかし、合格に有利な部活動や課外活動での実績作り、入学志願理由書の作成、面接対策、小論文対策と多岐にわたり、決して簡単な入試ではありません。
推薦入試も人気の高い大学は争奪戦になります。
高校に入学してから、既定の成績を残すことや課外活動に励む必要があります。
高校2年生の夏休み明けから考え始めても、入学直後から動き出している同級生たちにだいぶリードされています。
昔ながらの筆記入試だけが大変なのではなく、他の入試制度も直前になってからどうにかできるレベルではありません。
厳しい話が続きましたが、次からは地方の子が大学受験の見通しを良くする方法をご紹介していきます。
対策1.先取りできる科目は先取りをする
高校受験経由で大学受験する場合、中高一貫校のような先取りが思うようにできません。中学生の時に高校内容をやりたくても、まず高校入試を突破しないといけないからです。
しかし、大学受験は全国を相手にした戦いです。
のんびりとはしていられません。
高校受験で第一志望に合格するための勉強をしつつ、先取りできる科目は先取りをして備えていきましょう。
先取りが可能な教科の筆頭が英語です。
学習指導要領が改定され、英語は難化しています。
英語は文系、理系関係なく重要科目なので時間がある時に高校レベルの英単語やイディオムを習得しておくようにしましょう。
数学に関しても、中学内容に不安を感じていなければ数学1A内容を先取りしていくのも作戦の一つです。
我が家の子ども1の周囲でも、抜群に成績がよい数学がバリバリ得意な子は、高校数学を先取りしています。
子ども①はまだまだそこまでではないのですが、高校受験が終了したその日からガンガン先取りをする予定です。
対策2.受験する大学を中学生の頃から考える
インターネットで簡単に教育情報が入手できる時代ですが、地方に住んでいる中学生にとって全国での立ち位置を気にすることはほとんどありません。
一方、首都圏や近畿圏で中学受験をすると、その中での立ち位置、模試での順位はある程度進学する大学がどの辺りになりそうか予測ができます。
高校生になるまで全国を気にせずに済むため、地方の子は理想と現実が乖離してしまう事も多々あります。ですから、とくに大学受験を考えている地方の子は中学生の頃から進学する大学、受験する大学を考えるようにしておくようにしましょう。
自治体模試だけでなく、全国規模の模試を受けてみることで、全国での自分の立ち位置が分かります。
中学生の頃からお山の大将にならず、全国の同級生の学力や自分の全国での順位を客観的にみることも大学受験対策を失敗しないためには必要な作戦です。
対策3.自分に合った入試制度で受験する
現在の大学受験は、中学や高校のように受験時期が限定されておらず、受験学年である高校3年生の秋から、翌年の3月までと半年に及ぶ長期戦です。
そして、勉強して筆記試験をパスするという親世代の頃のシステムよりも複雑化しています。
高校3年生からどの入試制度で大学進学を目指そうかと悩み始めるのは、時すでに遅し。
早い段階から自分に合った入試制度を決め、優先順位をつけておきましょう。
なにせ大学受験は全国が相手。高校受験とは規模が違い過ぎます。
ただし、全てがとんとん拍子に進むわけではありません。
どんなことが起きても大丈夫なように、筆記試験で受験しても突破できる学力を身につけるなど日々の勉強は怠らないようにしてください。
まとめ
地方では全国規模の模試を受けるのは高校生になってから、という子が多く大学受験への考え方が甘くなりがちです。
そして高校で学ぶ科目は、理科であれば生物、化学、物理、学校によっては地学と3分野から4分野も勉強するようになります。
内容もかなり深まるため覚えることも中学生の頃と比較にならないほど増えるので、大学受験を高校受験と同じように考えていると、痛い目に遭います。
大都市の中高一貫校は先取りをしているのが常識、ということを意識しつつ、高校受験の先に待ち受けている大学受験に備えることも必要です。