今回は【漫画でもOK?読解力を育てるための【正しい本の選び方】と誘導術】と題し、お話していきます。
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【読解力を伸ばすなら、やはり活字の本を読ませるべき】。
そう考える保護者は少なくありません。
その一方で、子どもは漫画ばかり手に取る。
この構図はよく見られます。
しかし、漫画は本当に敵なのでしょうか。
結論から言えば、選び方と使い方次第で、漫画は読解力を育てる強力な味方になります。
漫画には、物語の構造、人物の関係性、心情の変化、背景設定など、読解に必要な要素が凝縮されています。
絵があるからこそ、場面理解のハードルが下がり、物語世界に没入しやすいという利点もあります。
問題は【漫画かどうか】ではなく、【どんな漫画をどう読むか】です。
そこで今回は、読解力を育てるための戦略的な漫画の選び方と、そこから自然に活字へと橋渡しする方法、さらに理解を深める会話術までを整理します。
漫画を禁止するのではなく、味方につける。
その発想の転換が、読書習慣の第一歩になります。
読解力を刺激する【戦略的漫画】の基準
まず、漫画を読んでいるのに、なぜか読解力が伸びない。
その原因は【漫画そのもの】ではなく、【選び方】にあることが少なくありません。
漫画は玉石混交です。
刺激が強いだけの作品もあれば、物語構造や心理描写が緻密に描かれた作品もあります。
読解力を育てたいのであれば、後者を戦略的に選ぶ必要があります。
読解力とは、単に文字を追う力ではありません。
語彙を理解し、人物の感情を読み取り、出来事の因果関係をつかむ力です。
実は、これらの要素は質の高い漫画の中に十分含まれています。
コマ割りや視線の動き、セリフと絵の関係を読み解くことも、立派な読解行為です。
重要なのは、【読ませる】ことではなく、【どんな読書体験をさせるか】という視点です。
ここでは、読解力を刺激する漫画を見極めるための具体的な基準を整理していきます。
漫画を娯楽で終わらせるか、学びの入口にするかは、親の選択にかかっています。
①【語彙の密度】が高い作品を選ぶ
読解力を育てるうえでまず注目したいのが、【語彙の密度】です。
セリフが短く単純で、擬音や勢いだけで進む作品は、読みやすい反面、語彙の広がりは限定的です。
一方で、登場人物の説明や状況描写が丁寧に書かれている作品は、自然と多様な言葉に触れることができます。
ポイントは、少しだけ背伸びが必要なレベルを選ぶことです。
知らない言葉がゼロではなく、しかし多すぎない状態が理想です。
わからない語が出てきたときに、【これどういう意味だろう?】と立ち止まる経験が、語彙力を押し広げます。
漫画であれば絵がヒントになるため、活字よりも推測しやすいという利点があります。
また、比喩表現や専門用語が含まれている作品も効果的です。
ファンタジーや歴史もの、職業をテーマにした作品は語彙が豊かになりやすい傾向があります。
語彙は読解力の土台です。
言葉のシャワーを浴びる量と質が、理解の深さを決めます。
【読みやすさ】だけでなく、【言葉の豊かさ】という視点で漫画を選ぶことが、戦略的読書の第一歩です。
②【心情の機微】が描かれているか
読解力の核心は、【登場人物の気持ちをどれだけ深く読み取れるか】にあります。
そのため、選ぶべき漫画の条件の一つが、【心情の機微】が丁寧に描かれているかどうかです。
単に出来事が次々と起こるだけでなく、登場人物が迷い、葛藤し、成長していく過程が描かれている作品は、思考を大きく刺激します。
優れた作品では、感情がすべて言葉で説明されるわけではありません。
表情の変化や沈黙、間の取り方、背景の描写などから読み取る場面も多くあります。
そこに注目すること自体が、立派な読解トレーニングになります。
【このとき本当はどう思っているのだろう?】と考える習慣が、文章読解にも直結します。
とくに友情、家族関係、挑戦や挫折を扱う物語は、感情の揺れが豊かに描かれる傾向があります。
こうした作品は、共感力と同時に論理的な因果理解も育てます。
心情の奥行きを読む力は、テストの記述問題だけでなく、人間関係にも活きる力です。
感情の層が厚い漫画を選ぶことが、読解力を深める近道になります。
③【学習漫画】を知識のインフラにする
読解力を支えるもう一つの重要な要素が【背景知識】です。
文章が読めない原因の多くは、実は語彙不足よりも知識不足にあります。
そこで活用したいのが、歴史や科学、伝記などを扱う学習漫画です。
これらは、知識のインフラを築くための強力なツールになります。
たとえば歴史漫画で時代の流れを大まかに理解していれば、教科書や活字の本に触れたとき、出来事同士のつながりが見えやすくなります。
理科や宇宙、生物をテーマにした作品も、専門用語への抵抗感を減らし、理解のスピードを高めます。
絵とストーリーで学ぶことで、情報が立体的に記憶に残ります。
重要なのは、学習漫画を勉強用と構えすぎないことです。
まずは物語として楽しむ。
そのうえで、【これ学校でやったね】と関連づけるだけでも効果があります。
読解力は、言葉を読む力だけでなく、内容を理解する力です。
背景知識という土台が広がるほど、文章の意味は鮮明になります。
学習漫画はその土台を自然に広げる入口になります。
漫画から【活字】へ自然にスライドさせる技
さて、漫画で読書の入口を作れたとしても、最終的には活字の本にも触れてほしい。
そう考える保護者は多いでしょう。
ただし、ここで焦って【今日から小説を読みなさい】と切り替えると、せっかく育ちかけた読書習慣が止まってしまうことがあります。
大切なのは、漫画と活字を対立させないことです。
漫画に夢中になっている状態は、【物語に没入する力】がすでに育っている証拠です。
このエネルギーをうまく活字へ橋渡しできれば、移行は意外なほどスムーズに進みます。
鍵になるのは、連続性です。
世界観や登場人物、テーマをつなげながら、少しずつ文字量を増やしていきます。
読書習慣は強制では根付きません。
自然な流れの中で、【気づいたら活字も読めていた】という状態を目指します。
ここでは、漫画から活字へと無理なくスライドさせるための具体的な方法を紹介します。
読書の階段は、一段ずつ上がればいいのです。
①【ノベライズ版】という最短ルート
漫画から活字へ移行する際、最もスムーズな方法の一つが【ノベライズ版】を活用することです。
すでに好きになった物語がある場合、その小説版に挑戦するのは心理的ハードルが非常に低いからです。
登場人物や世界観を理解しているため、新たに覚える負担が少なく、文字だけでも内容を追いやすくなります。
活字が苦手な子にとって最大の壁は、【最初の数ページ】です。
情景や人物関係がつかめず、読むのをやめてしまうことがよくあります。
しかしノベライズ版なら、【あの場面だ】とイメージしながら読めます。
漫画で見たシーンを頭の中で再生しながら読む体験が、活字理解の助けになります。
さらに、小説版では心理描写や背景説明がより詳しく書かれていることが多く、自然と語彙や表現に触れる機会も増えます。
物語を深掘りする感覚が生まれます。
【漫画の次は小説】という断絶ではなく、【同じ物語の別バージョン】として提示する。
この連続性が、活字への抵抗感をやわらげます。
ノベライズ版は、活字読書への最短ルートです。
②親が【面白いところ】で止める読み聞かせ
活字への橋渡しとして効果的なのが、親の読み聞かせです。
ただし、最後まで読んであげるのではなく、【一番続きが気になるところ】であえて止めるのがポイントです。
物語が盛り上がった瞬間に区切ることで、【この先どうなるの?】という知的好奇心が自然に生まれます。
子どもは、強制されると読む気をなくしますが、続きが気になる状態になると、自分からページをめくりたくなります。
この未完の力を利用することで、受け身の読み聞かせから自発的読書へと移行できます。
また、読み聞かせ中は感情を込めて読むことも大切です。
登場人物の声色を変えたり、緊張感のある場面で間を取ったりすることで、物語の臨場感が高まります。
活字でも十分に面白い、という体験を積み重ねることが目的です。
【読ませる】のではなく、【続きが気になる状態をつくる】。
この小さな工夫が、活字への抵抗を減らします。
読書の主導権を、少しずつ子どもに渡していくことが成功の鍵です。
③リビングを【みんなの図書室】にする
読書習慣を根づかせるうえで、環境の力は想像以上に大きな影響を持ちます。
子ども部屋の本棚に並べるだけでなく、家族が集まるリビングに本を置くことが効果的です。
視界に入る場所に本があるだけで、【読む】という行動のハードルは下がります。
ポイントは、【子どもの本だけ】にしないことです。
親の読んでいる本や雑誌も一緒に並べます。
大人がスマートフォンではなく本を手に取る姿は、それ自体が強いメッセージになります。
【読書は特別な勉強ではなく、日常の一部】という空気が生まれます。
さらに、漫画と活字をあえて同じ棚に置くのも有効です。
区別せずに並べることで、自然に活字の本にも手が伸びます。
背表紙が目に入り、タイトルに興味を持つこともあります。
読書は意志だけで続くものではありません。
手に取りやすい環境があってこそ、習慣になります。
リビングをみんなの図書室に変えることは、家庭全体で読書文化を育てる第一歩です。
読解力を【構造的】に定着させる会話
ところで、本を読むだけで読解力が自動的に伸びるわけではありません。
大切なのは、読んだ内容をどう扱うかです。
物語を読み終えたあと、そのままにしてしまえば、理解は一過性のものになりがちです。
そこで鍵となるのが、【会話】です。
読後の対話が、読解力を構造的に定着させます。
読解力とは、文章の表面をなぞる力ではなく、出来事の因果関係を捉え、登場人物の心情を想像し、背景を読み取る力です。
これらは、問いかけによって引き出されます。
【どうしてそうなったの?】【他の選択肢はあったかな?】といった一言が、思考を深めるきっかけになります。
重要なのは、正解を求めることではありません。
自由に考えを言葉にする場をつくることです。
ここでは、読解力を一段深めるための具体的な問いかけや会話の工夫を紹介します。
読む力は、話すことで磨かれるのです。
①【どうして、あんな行動したんだろう?】と問いかける
読解力を深める最もシンプルで効果的な方法が、【どうして?】という問いかけです。
物語の中で登場人物がある行動を取ったとき、【どうして、あんなことをしたんだろう?】と問いを投げるだけで、子どもの思考は一段深まります。
この問いは、因果関係を考える力を育てます。
出来事を表面的に追うだけでなく、【原因】と【結果】を結びつける作業が始まるからです。
たとえば、【怒ったのはなぜ?】【助けたのはどんな気持ちから?】と掘り下げることで、感情と行動のつながりを理解しようとします。
ここで大切なのは、すぐに正解を示さないことです。
子どもの答えが少し的外れでも、【なるほど、そう考えたんだね】と受け止めます。
考えを言葉にする経験そのものが、読解力の訓練になります。
【どうして?】は、思考のスイッチです。
物語を読む段階から、解釈する段階へと引き上げます。
この問いを習慣にすることで、読解は受け身から能動的な営みに変わります。
②【もし自分なら】のシミュレーション
読解力をさらに一段深める問いが、【もし自分ならどうする?】というシミュレーションです。
物語の登場人物を第三者として眺めるだけでなく、自分をその場面に重ねることで、理解は一気に立体的になります。
親子の会話で【自分が主人公だったら、同じ選択をする?】【違う方法はあったと思う?】と問いかけます。
すると子どもは、状況や条件を整理しながら、自分なりの判断を組み立てます。
これは単なる感想ではなく、情報を根拠に考える訓練です。
このプロセスでは、価値観の違いも浮かび上がります。
【自分ならこうするけれど、主人公はこうした】という比較が生まれることで、多角的な視点が育ちます。
読解とは、作者の意図を当てることだけではなく、物語を通して思考を広げることでもあります。
【もし自分なら】という問いは、物語を自分ごとに変える装置です。
物語世界と現実を往復する経験が、深い理解と想像力を育てます。
読書が思考のトレーニングに変わる瞬間です。
③主人公の気持ちと情景描写を考える
読解力をもう一段引き上げるためには、【書いてあること】だけでなく、【書いていないこと】に目を向ける力が重要です。
その鍵になるのが、主人公の気持ちと情景描写を結びつけて考える習慣です。
たとえば、物語の中で空が曇っている描写や、静かな風景が続く場面があったとします。
それは単なる背景ではなく、登場人物の不安や孤独を象徴している可能性があります。
【この場面の天気は、どんな気持ちと関係しているかな?】と問いかけることで、言葉の裏にある意味を探る姿勢が育ちます。
また、【このとき主人公は本当は何を考えていたと思う?】と想像させることで、表現されていない感情を補う力が養われます。
これは記述問題にも直結する力です。
情景と心情を結びつける視点が持てるようになると、物語はより深く、立体的に見えてきます。
表面的な理解から一歩踏み込み、行間を読む。
この積み重ねが、確かな読解力を形づくります。
漫画は【入口】、読解力は【育て方】で決まる
漫画は、読解力を妨げる存在ではありません。
選び方と関わり方次第で、むしろ強力な入口になります。
語彙の豊かな作品や心情描写の深い物語を選び、学習漫画で背景知識を広げることが、読む力の土台をつくります。
さらに、ノベライズ版や読み聞かせの工夫によって、漫画から活字へと自然に橋渡しをする。
無理に切り替えるのではなく、【同じ物語の延長】としてつなぐことが成功の鍵です。
そして何より大切なのは、読後の会話です。
【どうして?】【もし自分なら?】と問いかけることで、理解は表面的なものから深い思考へと変わります。
読解力は、禁止や強制では育ちません。
環境と対話の積み重ねが、確かな力を形づくります。漫画を味方につける発想が、読書の未来を広げます。

















