子どもの「10歳の壁」とは何か? 渡辺弥生著

 巷を賑わす小4の壁、という言葉

小4の壁に関して、先日書きましたね。

9歳、10歳の壁とは?!
噂の小4の壁ってあるのか?! 今から8年ほど前に放送されたNHKのクローズアップ現代「10歳の壁を乗り越えろ~考える力をどう育てるか~」2009年6月18日放送この放送...

子供①小4の壁を控えて
我が家は中学受験は考えていない、です子供①は中学年です。幼稚園に入園してからの日々は緩やかに過ぎていく感じでしたが、小学校に入った途端あれよあれよと時は過ぎ、...

自分を反面教師&仕事を通じて感じた、4年生~5年生が分岐点(9歳は序曲だと思います、個人的に)だよね~、との思いを持ちつつ、読んだのが法政大学文学部教授の渡辺弥生氏の本。

巷に溢れかえる「10歳の壁・小4の壁」について、様々なデーターをもとに理論的に話が展開されています。2011年4月出版です。10歳の壁を否定しているわけではなく、どのような変化が起きているのかを検証している本です。

私が一番興味深く読んだのは、「第一章 9歳、10歳はなぜ取り上げられるのか?」

本のはじめに、で記載されている部分を紹介します。

(前略)この年齢に注目しているのは、早期教育を煽る分野だけではありません。実は、現実の学校教育の世界では、1960年代ごろからすでにささやかれてきた、特徴のある年ごろでもあります。つまり、9歳、10歳の「壁」という言葉や、小学4年生の「つまずき」、という言葉は、かなり前から教育現場では言われてきている言葉でもあったのです。

子どもの「10歳の壁」とは何か?乗り越えるための発達心理学

P6より抜粋


1960年代と言えば、新幹線開通や東京オリンピックなど高度経済成長期真っ只中です。その時代から教育現場ではささやかれていたとは正直驚きでした。

戦後の混乱から立ち直り、人々の生活も落ち着きが出始めた時期でもあります。社会が平穏になりつつある中、学校でもそういう問題点に目が届く状態になった証とでも言えましょうか。

第一章では、1980年代にも9・10歳をテーマにした本が二冊紹介されています。

立命館大学名誉教授であった加藤直樹氏の本。専門は社会学(福祉学・心理学・教育心理学)です。

 大阪健康福祉短期大学元学長・大阪教育大学名誉教授であった秋葉英則氏の本。専門は心理学(教育心理学・人格形成心理学)。

このころは、煽りではなく、まだ幼かった子供が9,10歳を境に自己成長を遂げる飛躍の時期でもある、というプラスの意味合いで述べられています。

だいぶ今の意味合いと違いはあるものの、確かに見えない境界線がある、という認識はあり、世に問うていました。しかし、なぜこうも様相が異なるのかを私は考えました。

なりを潜めた90年代、そして爆発したゆとり前後

二冊の本が出版された1987年、89年は私・中村もリアル小学生だった頃。

世はバブル経済真っ最中です。ちなみに中村家はどん底時代・笑。

80年代後半に世に送りだされた「壁」は90年代では表に出てきません。お・そ・ら・く、1992年から開始した第二土曜日完全休校という、週休二日制度への移行も関連しているのかもしれません。

当時、私は小学校を卒業していましたが、教職員の労働時間軽減の圧力(国際機関から)によって休みが増えると新聞で読んだ記憶があります。

そういう状況下で、小学4年生が分岐点!!、となれば親は黙っていないでしょうし、国としても方針が揺らぎかねないです。そして、その中を偶然なのか、ゆとり教育への道を歩んでいく訳です。

そして、2002年から始まったゆとり教育、その後の国際テストでの順位低下によるマスコミと教育産業の扇動活動・・・。これにより公立への不安を覚える保護者が続出し、都市部では中学受験者数が右肩上がりとなりました。

NHKの、クローズアップ現代の放送が決定打となったのは間違いないでしょう。書店で子育てコーナー幼児教育コーナーに行けば、必ず目に飛び込んでくる9歳、10歳の文字

少子化に歯止めが利かない現在、教育産業は早い段階でお客様を取り囲む必要に迫られています。教育の不安を出せば、親はうろたえ、手を打たなければ、早く習い事を、早く教育を、と駆け込んできます。そして惜しみなくお金を落とします。

それが子供の幸せなのか、子育て中の私はウン、とは素直に言えません。

基本的に、私は先取り教育は否定派です。まぁ、少し漢字が読める(書く、ではありません・笑)&九九くらい口にするのはいいかな、程度です。

元塾講師を知っているお母さん方からは、いつも我が家の子供たちが外遊びばかりしているので、不思議がっていますが、それにも強い信念があってのことです。いずれ書く時期がくるとは思いますが。

10歳の壁を知り、その上で家庭でお金をかけずに対策を講じることが我が家ではベストな方法かな、と改めて考えた一冊でした。

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